第17話 プロゲーマー VS 西蓮隊



「な、なんで かしゃまろさん?!」


「あ、いや これはねその…」


橘さんと母さんは動揺していた。何故か西蓮先輩はニヤニヤしていた。


「中山君これはどういう事かなー?♡」


「僕が2人に聞きたいんですけど… とりあえずここだとあれなんで中入ってください。」



とりあえず僕は2人をリビングに案内した。



「ねぇねぇ中山君! なんでかしゃまろさんがここに居るのかな?♡」



「なんでってそりゃあ…」



「ゆ、優くん! ちょっと!これはね、えーとね…」


あぁそうか、母さんはまだ2人に僕らが親子って事知られてないと思ってるのか。

それを西蓮先輩は楽しんでるんだな…



「かしゃまろさん! 私達は中山君の一緒の高校で同じ部活なんですよ! 今日は中山君に用事があって来たんですけどなんでここに居るんですか!」


「あ、そうなのね… そのね私達はねその…」



「こ、恋人なの!」


「」


いやいや… 無理があるって。



「え、えぇ… それって… 禁断の恋じゃ…」


橘さん… なんで信じるんだよ…

この人ちょっと天然なんだな。


「お腹痛い…!」


西蓮先輩はすごく楽しんでいた。全く…この人はほんとにどうしようもないな…



「ねぇ 」


「な、なに?! そうよね!優くん! なんならここでキスだって…」


「いやこの2人僕らが親子って知ってるよ。」


「」


母さんは目が点になっていた。まぁ内密にしてたからな。それは悪いと思ってる。


「母さんから送られてきたヘッドセットあったでしょ。それに母さんのサインが書いてあったからつい流れで言っちゃったんだよ。でも2人には内密にしてもらってるよ。」



「そ、そうなのね。でも2人とも知らなさそうだったけど…」



「すみません! つい反応が面白くて知らないフリしてました!」


笑顔でそう答えた西蓮先輩を見て母さんは少し呆れながらも笑っていた。


「そういう事ね! びっくりしちゃったじゃない!危うく優ちゃんにキスまでする所だったわ! 私は別に構わないけど!」


「頼むから勘弁してくれ。」


僕が思春期の高校生ってあまり理解してないのかな…


「まぁ母さん紹介するよ。こちらが僕が入ってるeスポーツ部の部長で西蓮佳奈さん。」


「初めまして!」


「そしてこの人が副部長の橘 未来さん。」


「は、初めまして…」

橘さんは、ガチガチに緊張していた。

そういえば母さんのファンだったな。


「2人とも初めまして! この可愛い、可愛い優ちゃんの母、かしゃまろです♡ 優ちゃんはこんな可愛い子達と毎日格闘ゲームしてるのね♡」


「まぁ2人とも良くしてくれてるよ。」



「それで! どちらが優ちゃんの彼女さんなの?♡」


「」


ほんとにこの母親は何を言い出すんだ…



「えへへ♡どちらですかねー♡ ねぇみくちゃん♡」



「や、 私は、その…」

これ以上橘さんをからかうと爆発しちゃうぞ…


「2人ともただの格ゲー仲間だよ。僕に彼女なんか出来るわけないだろ。」



「ふーん♡ まぁいいわ! それで2人は優ちゃんに用事があって来たんでしょ?」


「忘れてました! これを渡したくて来たんですよ!」


西蓮先輩はカバンからTシャツを取りだした。


「実はね千紗ちゃんに私達のユニフォームを頼んでたの! それが完成したから早く渡したくて!」


「そうだったんですか。ありがとうございます。可愛いデザインですね。」


「でしょー! みくちゃんもアイデアとか出したんだよ!」


「へー。凄いですね橘さん。」


「た、大した事ないよ…」


「でもよく僕の住所分かりましたね。」


「じょうたろう君が教えてくれたよ♡」


ふむ。僕にはプライバシーもないみたいだ。

まぁ全然いいんだけども。


「可愛いユニフォームだね優ちゃん! でもユニフォームだなんてなにか大会にでも出るの?」


「あぁ、僕らeスポーツ甲子園に出るんだよ。」


「…! なるほどねぇ…」

母さんは少し驚いて、何か考えていた。


「どうしたの。」


「よし! じゃあ今からあなた達!私と対戦するわよ!」



何故か母さんはそう言った。急な展開だけど橘さんと母さんの対戦は少し観たいと思った。


「え! かしゃまろさんが相手してくれるんですか?! 良かったじゃんみく!」


「…ほんとにいいんですか?」



「いいわよ! 元々優ちゃんと対戦するつもりだったし、それに我が子のチームメイトの実力も知っておかないとね!」


「はぁ まぁ2人がいいなら母に付き合ってください。 でも一応プロゲーマーなんで強いっすよ。」


「知ってるわよ! じゃあまずは私からお願いします! このチームの先鋒なんで!」


「OK!じゃあかなちゃん準備してね!」


まずは西蓮先輩と母さんの対戦だ。


西蓮先輩はいつも通りのスタイルで戦っていた。西蓮先輩の攻め方も段々上手くなっている。僕や橘さんに鍛えられて来ただけの事はある。


「おぉー! 勢いが素晴らしいね!久々にこんなに攻めてくる子と対戦するよ!」


「まぁ攻める事しか出来ないんで私! このまま倒しますよ! ってうそ…!」


母さんは通常のプレイヤーでは考えづらい反応速度で西蓮先輩の攻撃を躱して、最大反撃を返してそのまま勝利した。

やはりプロゲーマーの実力は相変わらず健在なようだ。


「ふふっ ちょっと本気出しちゃったわ♡

でも物凄く上手い攻めね。これからどんどん強くなるわ。」


「ありがとうございますー! 精進します!」


「じゃあ次はそこのかわい子ちゃんかしらね。」



「は、はい! よ、よろしくお願いします!」


橘さんはガチガチに緊張していた。大丈夫だろうか…


不安はあるが、橘さんと母さんの対戦が始まった。


「あら、さっきの子より慎重なプレイね。反応もいいしこれは私も本気出さないといけないかもね。」


「勝つつもりでやりますのでお願いします。」


そう言ったすぐに橘さんは母さんの守りを崩して1本を取った。ゲームのルールとして3本先取なのだが、母さんから1本でも取るのは中々難しい。 昔1本も取れずに100連敗した事もあるくらい母さんは強い。


流石は橘さんだ。夢中で画面を見て、笑顔で対戦しているいつもの橘さんだ。


「ほぉー。これはほんとに本気でいかないとね。」


母さんはいつものニコニコしてる感じではなく、真剣な顔をして対戦し始めた。

これは母さんが本気の時だ。父さんと対戦してる時はいつもこの顔をしている。


(この子凄く強いわ… これはあ̀の̀子̀を思い出すわね… でもやはり少し甘いわね…!)


「…あっ しまっ…」



「みくちゃん少し甘えちゃったわね♡ でも本当に危なかったわ。ほんとに強いのね」


母さんの本気を出させた人は余りいない。

負けたとはいえ流石の橘さんだな。


「対戦ありがとうございます。 プロゲーマーの強さを感じれて良かったです。」



「それはどうも! さぁ最後は優ちゃんよ♡

今日こそは連敗記録止めれるかしら?♡」



「今日こそは止めてやるよ。ここ最近僕はさらに強くなったんだよ。」



「あらー!♡燃える息子も萌えるわね♡」



「ねぇねぇ! ちなみに連敗記録って今どれくらいなの?」



「150連敗です。 この最初の試合だけですけど。」


「あっ… そう… で、でも頑張ってね!」



西蓮先輩少し引いてたな… でも自信はある。

今日こそは絶対勝つ。



「じゃあよろぴこ♡」



母さんのスタイルは幻惑的なスタイルだ。使うキャラクターが構えや特殊な攻撃が多い。

それを最大限に引き出して相手を幻惑して勝つと言うのが母さんが一番多い勝ちパターンだ。


でも母さんとは嫌というほど対戦して負けている。対策は誰よりも出来る自信がある。


「あらっ 対策の練度が仕上がってるわね。

プロでも中々ここまで対策出来ないわよ。」



「何回対戦してると思ってるんだよ。嫌でもこれくらいは出来るよ。」


「まぁね。」

(でもここまでのレベルの対策はトッププレイヤーレベルよ…

この子本当に前より格段に強くなってるわ…

恐らくあのみくちゃんのおかげね)



「おぉー! いい勝負!」


「中山君…凄い…」


フルセットまで来たぞ…! あと1本取れば母さんに勝てる…!



「ふふっ 流石は私の可愛い息子ね♡ ここまで強くなってるとは思わなかったわ♡」



「子供は親を超えるもんだよ。今日こそは勝つ。」



(ふふっ 中々言うようになったわね… でも本当にこのままだと負けちゃうかもしれないわ… 仕方ない…)



「ねぇ優ちゃん。」



「なんだよ。 何か言って動揺させるつもりだろ。もうそんな手に引っかかる歳でもないんだぞ。」






「優ちゃんってみくちゃんの事好きなの?」





「なっ…」




「ふふっ やっぱり優ちゃん可愛いわね♡

これで私の勝ちね♡」



思̀わ̀ず̀動揺して負けてしまった。なんで僕はこんなに動揺してしまったんだろう…




分からないが、ふと橘さんを見ると

橘さんは何故か顔が赤くなっていた。


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