第16話 悪のプレイヤー
「おぉー! 凄いよこれ!予想以上だよ!」
僕らは部室のパソコンの前にいた。
PR動画を送ってから1週間ほどが経ち、それぞれのチームのPR動画が公開されていた。
その中で僕達のPR動画は既に100万回再生ほどされていた。他の動画に比べても圧倒的な再生数なのでこのPR動画での大会ポイントはほぼ貰えると思っていいだろう。
「こんなに再生されるとは思わなかったですね。 これに関しては西蓮先輩の作戦勝ちですね。」
「ふふん! このチームの智将西蓮だからね!任しときなさいよ!」
「…私は恥ずかしいからこんなに再生されて欲しくなかったけど…」
「まぁみくちゃん!大事なポイントが貰えるのよ! それに最後の方はノリノリでポーズとってたじゃない。」
「あれはかなちゃんがやらないと終わらないよって言うから… 」
橘さんは大会ポイントを理由に色々なポーズやセリフを言わされていた。
西蓮先輩は橘さんの照れてる所を見てすごく楽しんでいた。
「でもこれで、最初の予選大会少し気持ち的に楽になりますね。」
「まぁそうね! ポイント持ってればより余裕を持って戦えるからね!」
「まぁ…それはそうだけど…」
そう言いつつ橘さんは少し不満そうだった。
よほどコスプレの件が嫌だったのだろう。
「でもねー 最初の私達が出る予選大会ね、中規模位の大会だからそこまで強豪チームは
エントリーしてないんだけど、少し気になる
チームが居てね。」
そう言って西蓮先輩は大会のエントリー表を見せてくれた。
「この西宮高校とか、高場高校とかは去年
予選で結構活躍してたよね。」
「まぁそうね。そもそも関東ブロックが一番レベルが高いブロックだと言われてるからね。去年の優勝チームも関東ブロックだし。」
確かにエントリー表を見てみると聞いた事あるプレイヤーネームがちらほら居る。
「でもね、1番厄介なのはこの城下坂高校の
チームなのよねー」
僕は聞いた事ない所だ。出場者のプレイヤーネームを見てもピンと来なかった。
「…あぁ ここは…」
橘さんも何やら知ってるようだ。
「なんでここが厄介なんですか?」
「ここのチームに塩崎って居るでしょ?
こいつが少し厄介なプレイヤーでね。」
「しおって名前でプレイしてるんだけど、暴言や死体蹴り、煽りプレイが酷いプレイヤーでね。ゲーセン時代は無理矢理小学生の子と段位戦をさせて段位を上げてたって話もあるわ。とにかくいい噂は聞かない、悪のプレイヤーって言われてる奴なのよ。」
「そうなんですか。確かにひどいプレイヤーですね。」
「実際に対戦して、しおから嫌がらせをうけて格ゲーを辞めた子も居るらしいのよ。」
ひどい奴が居るんだな。ランクマで当たったらボコボコにしてやろ。
「去年の大会でもそいつのチームの暴言とかは問題視されていたわ。 でも結局優勝チームに予選で負けて敗退していたわ。」
「でも実力は私達の方が強いと思うから
もし当たった時は気にしないようにね!」
「わかりました。」
「あ、ごめん。 千紗ちゃんから電話だ。
はーい!もしもしー!」
僕と西蓮先輩は恐らく大丈夫だけど橘さんが少し心配だな。
元々緊張しいの子だからそいつとは当たらないといいんだけど…
「大丈夫だよ中山君。私達ならそんな人より強いから問題ないよ。」
僕は少し驚いた。橘さんに励まされたからだ。心配してたのはこっちの方なんだけどな
まぁこの感じなら大丈夫だろう
僕は予選までにもっと練習して仕上げとこ
う。
「そうですね。じゃあ今日は僕帰りますね。また明日。」
「また明日ね 中山君。」
「ねぇみくちゃん聞いてよー! 実はねー!」
「…?」
―――帰り道
それにしても橘さんあの大会からほんとに
変わったよなぁ…
格ゲーも前よりどんどん上手くなってくし
まじでこのままだったら僕置いてかれちゃうな…
とりあえず帰ってひたすらランクマ回そう
「ただいまーって あれ 僕鍵閉め忘れたかな… って… なんで居るんだよ…」
玄関を開けると何故か母さんが居た。
「おかえり優ちゃん!♡ 久しぶりね!♡
見ない間に少し成長したかしら?♡」
「いや、半年位しか経ってないんだからそんな訳ないだろ… ていうかなんでここに居るんだよ」
「ママなんだから息子の様子くらい見に来るでしょ?♡ それに内緒で女の子と住んでるかもしれないじゃない!♡」
「ありえないな。母さんも知ってるだろ、僕が格ゲーにしか興味ないって。それになんで母さんだけなんだよ。父さんは一緒じゃないの。」
「優ちゃんくらいカッコよかったらあり得ると思うけどねー!♡ パパも帰って来てるけど仕事でゲーム雑誌の取材を受けてるわよ。」
「そうなんだ。それで、今回はいつまで日本に居るんだ?」
「今回は8月くらいまでは海外の大会もないし、日本での仕事が2人ともあるから当分日本に居るつもりよ♡」
「そっか。まぁ父さんにも会いたいな。」
「パパも忙しいけど時間はあるはずだがら予定組んでおくわね♡ それより恒例のやつやる?♡」
「ちょっと待って。着替えだけ済ましてくるよ。」
両親は普段あまり日本には帰ってこないが、帰ってきた時の恒例行事がある。
それは勿論対戦だ。こうみえても実力派の
プロゲーマーな両親だからたまに会った時は対戦してアドバイスとかを貰っている。
「おまたせ母さん。ちょっと準備するから少し待ってて。アケコンは持ってきたの?」
「荷物は置いてきたわ。優ちゃんの貸してね♡」
「いいけど、負けた時の言い訳にしないでくれよ。」
「ふふっ 負けても何も言わないわよ♡」
ピンポーン
「こんな時間に珍しいな… じょうたろうかな 。ちょっと母さん出てきてよ。僕準備しておくからさ」
「あらー じょうたろう君に会うのも久しぶりね! 」
さぁ今日は絶対勝つぞ。橘さんとずっと練習してたからちょっとは母さんともいい勝負出来るはず…
「ちょ、ちょっと優くん来てよー!」
母さんは、慌てた様子で僕を呼んだ。
「なんだよ… 準備してるって言ったじゃんか。それに普段優くんって呼ばないだろ…
って なんで…」
玄関にはじょうたろうではなくて、橘さんと西蓮先輩が来ていた。
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