第3話 おめでとう!E級召喚士は〇〇にジョブチェンジした!

あれから二時間は呆然としていただろうか。


それにしては日は傾いていて、もうすぐ日暮れが見られることは間違いなかった。


あれほど眩い召喚陣など初めてだったのにも関わらず出てきたのはスライム。


思わずいつもの癖で投げ飛ばしてしまった。


「よしこ、俺…」


少しぐったりとしながらある話をよしこに切り出そうとすると、彼女はそれを遮って声を上げた。


「やめるなんて駄目だよゆーくん!最強の召喚士になるって約束したじゃん!」


いつにもまして迫真な表情に、俺は少しだけ苦笑をして、それから首を横に振った。


「違うんだよしこ、そうじゃない。そうじゃないんだよ…。俺はな…決意したんだ…」


俺は漫然としながら立ち上がり、隣に腰掛けていたよしこの目の前で立った。


「召喚するよ…オレ、召喚するから…だから…」


感極まったのか何なのか、情けないのか違うのか。

俺はボロボロと涙を流しながら彼女の前に膝をついた。


「だから、金貸してくれ…」


そう言って、俺は土下座をした。

涙ながらの懇願である。


「顔上げてよゆーくん。」


促されるままに俺が顔をあげると、そこには慈愛の微笑みを浮かべたよしこがいた。


後光に夕日が差しているせいなのか、神々しさすら感じてしまう。


呆気にとられる俺を他所にして、よしこは膝をついた俺のそばに寄るようにしてしゃがみ込み、何かを俺の右手に両手を使って握らせた。


「返さなくていいから、好きなだけ使って。」


よしこが言った。


「だからね、もう泣かないでもいいんだよ?」


そのとき、俺の右手にはブラックカードが握られていた。


俺は一筋の涙を流して言った。


「悪い、やっぱ辛えわ…」







おめでとう!俺はヒモにジョブチェンジした!

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