第2話 Eランク召喚士はA級召喚士の夢を見るか2

スライム、それは最弱の召喚獣。

召喚獣はエイリアンとは完全に異なった生命体である。エイリアンから回収した魔石を召喚士が用いることで呼び出すことができる未知の生命体。

エイリアンと召喚獣、両者供に全く道の生命体であることには違いないが、召喚獣はエイリアンと違って人の言葉を理解できるし、何より召喚士の言うことにはほとんど従う。対価として召喚士は契約した召喚獣に魔力を与える。契約者が死ねば召喚獣は消滅してしまうため、一蓮托生の関係でもあるため、余程のことがない限り彼らが命令を聞かないということはない。


もし命令を無視されるというのであればよほど信頼関係がないか、召喚獣と召喚士の力量の開きが大きいかのどちらかである。


しかしながら、例外として命令を聞かない召喚獣も存在する。


それこそが俺が何百体も従える召喚獣であるスライムだ。


およそ彼らには知能というものがなく、言葉を解することができないため命令も聞かない。


肉盾にしようにもあまりの脆さに使い物にならない。


存在が確認されている召喚獣の中で最も役に立たない最下級の召喚獣、それがスライムである。


変成した世界で運良く召喚士としての能力を得ることができたが、何故か運悪く最弱の魔物しか召喚できない最弱の召喚士、それが俺だ。


しかし、その最弱の汚名ともこれでおさらばだ。


いままで俺は寝る間も生活費も惜しんで働き続けた金をすべて魔石の購入に費やしてきた。


騎士とか、魔法使いが持つような火力は皆無であるため、狩りによって魔石を得ることは不可能だった。


故に金の力を駆使して召喚石を手に入れるしか手段がなかった。


きっとその金にまで俺の運の悪さがこびりついてしまったのだろう。


だからスライムしか出なかった。おそらくそういうことだろう。


だが、今回は違う。これは俺が召喚できないのを見かねたよしこが誕プレと称して迷宮で手に入れてきた魔石である。


俺なんかとは違いハイビーストフォーマーというユニークな能力を持った、日頃から強運を発揮する異端者からの贈り物である。

これで(スライム以外を)引けない道理はないのだ。

確信とともに魔石を砕き俺は生み出された魔力をコントロールし、目の前に召喚人を構築する。

何度も繰り返すうちに無駄に上手くなった召喚陣の出来具合に満足しながら俺は祈りの雄叫びを上げた。


「さぁ!いくぞよしこ!お前の力を分けてくれぇ!」


「どすこぉおい!」


よしこもまた気合を込めた。ここに祈りは成就した。


眩く光を放つ召喚陣の色は蒼海を思わせる深藍。


俺は思わず目を閉じてこう思った。


(この際同じE級のゴーレムでいいから来てくれ!頼む!)


果たして出てきたのはいつもより少しだけ大きい色が青っぽいスライムだった。


「結局スライムかーーーーい!!」


俺は再びスライムを空の彼方へと投げ飛ばした。

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