第13話
「ウー……グルル……」
ヨダカの首筋に鼻を埋めて、呼吸をする度に身体の熱が上がっていく。目の前に居るのは雌猫じゃない。分かっているはずなのに、抗えず、衝動に従うままにそこを舐めた。
今のおれはまるで好物を目の前にした獣だ。唾液が溢れて、愛撫に水音が混じる。
「……はっ、…はっ、ん…う……」
ぴち……、ちゅぷ……。
音を立てて舌を這わせるごとに、ヨダカは耳も肩も震わせて、少しずつ、少しずつ、体から力が抜けていく。
「アン、ク……絶対、絶対、入れないで」
一瞬、何を言っているのか分からずにヨダカの顔を伺うと、ヨダカは大きな目からぼろぼろと、涙を溢れさせていた。泣かれたって、そんなの無理だよ。おれを誘う匂いを、こんなにさせておいてさ。
「……ウーー」
おれの腹を押すヨダカの後ろ足。鉤爪は鋭いけれど、足裏は肉が厚くて、妖精猫の肉球の感触とそう変わらない。
おれはそこに、昂りを主張する下半身を擦り付けた。
無意識に発していた唸り声も相まって、ヨダカはびくりと身体を縮こまらせる。
足指が丸まる時に爪が腹を掠めてヒリついたけれど、おれは構わず、ヨダカの喉に噛みついて、下腹のスリットに熱い昂りを捩じ込んだ。
「ぅ、けほ……っ、あ!!」
そこには元々割れ目があるだけで、どんな生物にもあるはずの出口すら無い。けれど、ぐっと腰を押し進めれば、中の粘膜はまるで吸いつくみたいに纏わり付きながら、おれのモノを奥へ奥へと受け入れる。何の抵抗も無く、そこはおれを隙間なく包み込んだ。
ヨダカが背中を反らして、腰の翼を戦慄かせる。おれが身動ぎするだけで、びくん、びくん、と身体が跳ねた。
「あ、んく! だっめ…! あっあ!」
逃れようと身体を引き摺るヨダカ。腰を両前足で固めてそれを阻む。
「ハッ、ハッ、ガルルルル……」
「んッ、…はぁ! アン……うぅ」
きもちいい。夢中で貪っていると、ヨダカが足でおれの脇腹を掴んできた。左右4本ずつの長い
被毛を梳き、地肌を滑る背中の爪先に、腰を揺りながら意識を向けていると突然、ぐり、と鼠蹊部を後趾で押されて、力が抜けるほどの快感が全身を駆け抜けた。
「ぐあ……!?」
ごぷ……と吐き出されるおれの種。半ば強制的にイかされた。脊髄反射でヨダカの腰を抱き込み、最奥まで繋がろうとしたけれど、おれの腰を掴んだ脚にもの凄い力で身体を引き剥がされた。
逃げられる。捕まえなくちゃ。そう思ったのに、何故か四肢に力が入らない。前のめりに倒れかけたおれの身体はしかし、逃げてしまうと思っていたヨダカによって受け止められた。
受け止める、と言っても、ヨダカも中途半端な熱を発散しきれていない身体で、未だに息が荒いまま、おれの下敷きになっているような形だった。
「…は、……は、アンク。アンク、平気?」
ヨダカは焦った声で尋ねながら、おれを宥めるように、毛並みに沿って首や背中を撫でてくる。
ダメかも。声を出そうとしても、くうん、とか細い鼻息しか鳴らせなかった。
外気に触れたところが異様に冷たいのに、未だ繋がる相手を求めていた。舐めて鎮めようにも、身体に力が入らない。
すり、とヨダカのお腹にすり寄せると、まだ熱い吐息が漏れた。
「ん……。ごめん、ごめんね……」
なんでヨダカが謝るんだろう。そんなに切羽詰まった声で言われると、不安になるよ。ねえ、ちょっと疲れちゃっただけだろう?
ふと、ヨダカが何かを呼ぶように呟いた気がしたけれど、上手く聞き取れなかった。
ああ、あとどのくらいこうしていれば、この熱は冷めるのだろう。意識も手放せず、ぼんやりとした頭で考えていると、ぬるり、と生温かいものがおれの敏感になっているところに触れて、びくっと腰が跳ねた。
おれの昂りをやわやわと握ったのは、ヨダカの手だった。温かくぬめった液体で、濡れたヨダカの手。
「よだ、か……? んッ」
手元を見ながら、おれのを慰めるヨダカの横顔を見つめる。目尻からはまだ微かに涙が出ているようだった。
「んっ、ん……はぁ、はぁ」
くちゅくちゅと、おれとヨダカの間で湿った音がする。ヨダカの手の動きに合わせて、気付いたらおれの腰も緩く動いていた。
程なくして、ヨダカの手の中で再びおれは果てる。ようやく行き場を得た快感でチカチカと視界に火花が弾けた。
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