7話:向き合う
「蛇、答え合わせしてくれ」
俺は誰もいない空間に向かってそう呟いた。
「早いね、もう解けたの?」
どこからともなく、スルッと蛇が現れる。
「うん、多分」
「多分、、かぁ笑。良いよ。聞かせてもらおっか」
*
「蛇が嫉妬しているものは、空で、蛇の魅力に目を向けることが解決策だ」
少し緊張しながら、そう呟く。
ほぅ。と言いながら、蛇の目がきゅっと細くなった。
「なんでそう思うのかな?」
「蛇っていう生き物は、地面を進む生き物だ。鳥や虫のように空を飛ぶこともできないし、僕ら人間のように、物を使って空を楽しむこともできない」
例えば、観覧車とか。
「だから遊園地みたいな空間なんでしょ?」
「ふふ、良いね。でも、その解決策はどういうことなのかなぁ?」
「嫉妬って、そもそも、自分よりも他がよく見えちゃってる状態だよね」
「うん、そうだね」
「で、蛇の場合は空にいけない自分が嫌だ。空を楽しめる他の奴らがずるいって」
「それも、そうだね」
「じゃあさ、蛇の体は変わらないんだから、何かを変えることで嫉妬をなくすことはできないでしょ?」
「、、、。」
蛇は少し気難しい顔で黙り込む。
「で、俺は思ったの。空っている?」
「、、、は?」
「蛇ってさ、なんか金運に良いとか言われて、お守りにされたりするじゃん。かっこいいって言われるし、君も実際イケメンだし。そこまで考えた時にさ、空まで手を出さなくても十分じゃんって思ったんだよね」
「、、、」
「蛇に羽が生えたら、なんていうかちょっと気持ち悪いし、、、。あ、いや、今のが絶対かっこいいし。」
「だから、あれこれ足掻くよりもそのままの蛇を好きでいること、自分の魅力に気づくことが解決策だと思う!、、、んだ。」
最後少し自信なく、小声になってしまったが、そこまで言い切る。
「だからさ、目を背けて逃げてちゃダメだ。俺も、、、ね」
俺も、と言ったところで、今まで黙り込んでいた蛇が声を上げる
「大っ正解!」
*
「自分の問題と、僕の問題とをしっかりリンクして考えられたんだね」
えらい偉いというように蛇が僕の頭を撫でる。
「嫉妬の原因と、それに向き合うのってすごく難しいんだよ。だから人間が持つ7つの大罪の中で、嫉妬が一番重いって言われてるんだ。僕は、嫉妬を表す蛇。」
「よくがんばったね!嫉妬の試練、クリアだよ」
目がなくなるくらいにっこり笑って蛇が高らかに宣言する。
同時に、彼の左手に5cm程の、緑色の鍵が現れた。
「おめでとう、颯人くん」
元気でね。
蛇に鍵を手渡された瞬間、目の前にあの扉が現れてーーーー。
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