蛇の試練

4話:試練

「で、どうやってここに来たかは分かったけど、どうやって帰るの?」

夢なのか現実なのか、よくわからないけど、俺の頭はキャパオーバーだ。

今の状況、いじめもどきのこと、あの事件のこと、、。


「んぇ〜やっぱり帰っちゃうのぉ?」

『クロ、わがまま言わないの〜』

「ちぇっ、やーっと人間が遊びにきてくれたのに」

ぶつぶつ小言を挟み、拗ねた様子の黒うさぎと、それを宥める白うさぎ。よく似た顔だが、黒い方が少しだけつり目で、白い方は目がくりっとしている。

いろいろなことが起こりすぎて気づかなかったけど、うさぎ達は身長120cmくらいで、小学校低学年くらい幼い顔つきをしていた。

少し拗ねたような顔つきも年相応?でなんとなく可愛らしい。


「向こうの世界に帰るにはね、また条件をクリアしなきゃいけないよ」

『僕らはそれをって呼んでるよ〜』

「なかなか難しいからね、クリアできない時もあるし」

『クリアできる時もある!そんなぐあいだよ〜』

「いや全然わかんないけど、、」どんなぐあいだよ。心でそう突っ込みを入れる。


「で、その試練ってなにやったら良いの?痛いのとかは勘弁なんだけど、、、」

なんとなく難しそうな感じがして、恐る恐るそう尋ねる。

「んーっとね、人によって違うんだよねぇ」

『人によってさ、罪っていうの?乗り越えなきゃいけない壁って違うじゃない?』

「その人が抱えている、お悩み?闇?からぴったりな試練を与えるんだよ〜」

『だから、っていう試練はないんだけど』

「颯人くんはね、だよ」

「嫉妬の、、試練、、?」

『そう。一番難しい試練かもしれないね』


「一番、難しい試練?」

ただでさえ難易度が高いって言ってたのに、その中でさらに難しいの??えぇ〜、、、。


急に怖くなって、少しだけ声が震えているのが自分でもわかる。

「あっ、シロ!おバカ!」怖がらせちゃったじゃん!と言いながらクロがシロの頭をぽんっと優しく小突く。

『わわわ、ごめんね!』

慌ててシロがそう謝り、補足補足〜と付け足す。


2人の説明を合わせると、こんなことだった。

この道をまっすぐ進むと、が待っている。案内人の指示に従って、試練クリアに挑戦する。

クリアできればが手に入り、その鍵を使って扉を開ければ元の世界に戻れる。


「颯人くんの後ろにあるのがその扉ね」

『緑の扉ね』

言われて振り返ると、鮮やかな緑色の扉が目に入る。教室の扉の半分くらいの幅か?金色の取手がついた扉が俺のすぐ真後ろに佇んでいる。


「ねぇ、このドアなんか変なんだけど、、」

扉の後ろは、前方の景色と同じ一本道が続いているだけで、のだ。


「大丈夫、ちゃんとその先は繋がってるよ」

『鍵を開けたら、先はあるよ』

2人はそう優しく微笑んで答えた。

じゃあ、僕らはここまでしか案内できないから。ごめんね。

少し寂しそうな顔でそう言う2人に手を振って、延々と続く道に踏み出した。



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