第13話 魔装
第6話でSランク探索者の人数を12人をと表記しましたが、ただしくは7人でした。
混乱させてしまってすみません。
―――
「Aランクモンスターのキングオーガ……それも変異種だよ!」
ボクはそう叫んだ。
確か昔、Aランクダンジョン内で見つかったボスモンスターだったはず。
あの時はニュースで大々的に放送され、Sランク探索者も含まれた12人で死者を出しながらも何とか討伐できたのだとか。
湊はどこかからか凄そうな剣を取り出す。
なにあれ、何というか神々しさを感じる剣だ。
だとしても――
「無理だよ、11回覚醒してても一人じゃ倒せないから!」
Sランク探索者の平均覚醒回数は9回。
2回さらに覚醒したところで勝てるもんか。
「フゴォォォォォォ!!!!」
キングオーガの近くに魔法陣が生まれ、そこからオーガが何体も召喚されていく。
それを湊は剣を構え――
「フゴ?」
魔法陣ごと文字通り、一刀両断した。
「グゴォォォォォ!!!」
キングオーガはオーガたちを盾にし、何とか皮一枚で生き残る。
そしてついた傷は瞬時に回復した。
「チッ、即時回復かよ、めんどいな」
そこからは一進一退の戦いだった。
「良い加減やられろ!」
今度は首を狙った攻撃。
だがしかし、首が飛んでもすぐに回復してしまった。
にしてもとんでもない切れ味の剣だ……。
あんなものを持ってるなんて湊はやっぱり只者じゃないね。
「確か不死身種は心臓を潰すか、魔法系の異能を使った攻撃じゃないと倒せないよ!」
だけど、変異種キングオーガの心臓は三つあり、一度にそれら全てを潰さないといけなかったはず……。
「フゴォォォォ!!」
キングオーガは近くにあった木を引っこ抜き、湊の方向へ投げた。
この轟音に周りもただ事ではないと気づいたのか本部への通報や避難を始めているようだ。
だけど、許せないのはこの中で動画を撮っている奴ら。
「なにあれ〜、やばくない?」
「なんか凄そう〜、でも何とかなりそうっしょ」
湊が戦っている間に呑気に……。
湊と変異種キングオーガの戦いは五分五分といったところだった。
湊の方がダメージを与えているため優勢に見えるが、即時回復する敵に決定打が見つからず、苦戦しているのだ。
モンスターはランクが上がれば当然如く、知能も上がる。
無防備に動画を撮っている奴らに目をつけたのか、その右腕は野次馬たちへと伸びていた。
「卑怯な!! お前らも早く避難しろ! 邪魔だ!」
湊はすぐにそれに気づいてキングオーガの腕を切り落とす。
こいつらはボクが責任を持って連れて行こう。
でも、湊は? 大丈夫なのだろうか。
「グゴォォォォォォ!!!!!」
そう思っていた時だった。
キングオーガの体からもう2本の腕が伸びてきたのは。
――――――
「グゴォォォォォォ!!!!!」
俺は愛剣を持ちながらさらなる変異を遂げたキングオーガを観察する。
あれから、さらに腕は4本生え、8本腕の蜘蛛みたいな生物になりやがった。
どういうことだよ、キングオーガって言ったってあんな狂った奴じゃなかったろ!
「グゴォォ……」
その腕を足のように使い、とんでもない速さで奴は俺に迫ってくる。
「くっそ!! 突然進化とか主人公かよ!」
俺は上に飛び、木々を足場にしながらロケットのように心臓を狙う。
が――
「グゴ?」
「痛え……」
バッチリ弾き返されました。
あれは俺の仇敵、古代龍や死神騎士に匹敵するぞ。
だったらあの異能を使うしか……。
いや、あれは能力が強すぎる上にしばらく動けなくなるからこんな状況じゃ使えない。
であれば――
「いでよ、魔装ヴェルグ!」
俺がそう口にすると、どこからか無数の粒子が飛んできて俺の体に纏わりつく。
そして、それは鎧となり、具現化された。
魔装……それは一部の探索者が身体強化のために使う武具のことだ。
俺の第一の異能、〈性質付与〉で最高峰の武具に身体強化系の能力をつけたこの世に一つしかない最高の一品。
これをつけた俺は百人力だぜ。
「グゴォォォン!!」
そうして第二フェーズが始まった。
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