第24話 嫌ナ予感
圭と話をしてから次の日。
私は学校に行く気にはなれなかったが、美華が迎えにきて、元気づけてくれたおかげでなんとか立ち上がる事ができた。
美華「先生もなんで唯愛の事が好きかわからないってことだよね?」
唯愛「うん...」
美華「まぁその気持ちもわからなくはないけど」
唯愛「そおなの?でも可愛いから好きとか、優しいから好きとかなにかあるもんじゃないの?」
美華「じゃああの時先生にそう言われて唯愛は納得してた?」
唯愛「そう言われてみればそうだけど...」
美華「でしょ?だからこれからの先生に期待してみるしかないじゃん?私だって唯愛の事なんで好きになったのかわからないわけだし」
唯愛「ちょ..ちょっとー!」
美華「あはは!まぁそれは過去の話で、今は良き親友だって思ってるよ!そう言った意味で私も先生に負けないぐらい唯愛の事守るんだからさ!」
唯愛「ありがとう。美華」
本当に思う。好きって何からそうなるのかわからない。
都合のいい言葉でもあるが、確信はつけない。
大事なのは言葉に出せなくても相手を思う気持ち。
それが上手く伝われば、相手も好きになる。
付き合うって難しい。だけど昨日の彼の顔を見るとすごく必死な顔をしていた。
比べたくないがどうしても思い出してしまう。
あの人の時にもそうだったのかな...と。
こんな事を思いながら美華と学校へ行った。
これから学校で起こる事を何も知らずに。
靴を脱ぎ、上靴に履き替え、彼女と一緒に教室まで行く。
行く途中の階段で何か嫌な予感がした。
外を見ると今まであまり気にならなかった蜃気楼がやたらと目に入る私。
そして教室の前までたどり着きドアを開けた。
すると、黒板に私と圭の事が書かれていたのだ。
「淫乱唯愛と変態教師圭」とか書かれてあり、その二人の名前の上には破れた相合傘。
私は背筋が凍りその場を動くことが出来なかった。
急に動機が激しくなり、息切れを起こす。
すぐさま美華は皆に叫んだ。
「これ書いたの誰よ!」
そお言いながら彼女は、すぐに黒板に書いてある私と彼の名前を消しに行った。
その状況を見て、周りの生徒は誰も言葉を発さずクスクス笑いながらこっちを見ている。
そして近くにいた女子生徒の手を掴み、美華が言う。
「黙るんじゃなくて答えたら?」
見たこともないぐらいに怖い表情をする美華。
その怖い表情の美華に対しものともせず、ニヤリとした女子生徒がトドメを刺す。
「私は知らないわよ。誰よりも唯愛の事を愛している美華さんだったら知ってるんじゃない?」
美華は言葉を失ってしまった。
私たちの事も、美華の事も皆知ってしまっていたのだ。
でもなぜ。なぜ知っているのか。
そう思い。立ち眩みがし、倒れそうになる私。
するとその言葉を聞き下を向いていた美華が言った。
「私の事をなんと言おうがかまわない。だけど唯愛の事を言うのだけは絶対に許さないから」
そう言って彼女はその女子生徒の胸ぐらを掴み、顔面を殴った。
その女子生徒の鼻から血がこぼれ落ち、教室に大きな悲鳴が響き渡る。
「どうしたんだ!」
通りすがりの先生が教室に入ってきた。
すると殴られた女子生徒が口を開く。
「なんでもありません。私が滑ってこけただけで...」
異様な空気に包まれた。
この女子生徒が美華に殴られた事をその先生に報告すると思っていたが、黙っていたのだ。
一旦は助けられ、回避できた私達。
だがものすごく嫌な予感がした。
この一件から美華は、クラスからのイジメにあうことになる。
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