第13話 姉ノヨウナ妹

 動物園で圭と約束した次の日から、私は学校では徹底的に彼との距離を程よく保ち、教師と生徒の関係を保った。


 だけど本当は彼に触れたい。


 もっと抱きしめてほしい。


そう思っていた。

こうして程よい距離を保とうとすればするほど、彼がもっと欲しくなる。


でも私には美華がいた。

彼女が私と友達でいてくれてるから私もこうして毎日頑張れている。


 美華「唯愛ー!おはよー!」

ある日、いつものように私を背後から抱きついてくる。

本当お姉さんみたいなときもあればこうして無邪気に妹みたいな時もあり可愛い。


 美華「この間の休みの時さぁ。ライン送ったのになかなか返してくれなかったじゃぁん。何してたのー?」

その言葉に私はピクンとしてしまい、言葉を詰まらせた。


 唯愛「あっあの日は家でゆっくりしてたよぉ」

誰でもつきそうなよくわからない嘘。

彼女は私の目をじーっとニヤニヤしながら見つめていた。


 美華「ふぅ〜ん。ホントかなぁ〜」

こう言いながら後ろから抱きつきながら私の頬を指で優しく撫でてくる。


 唯愛「ちょっちょっと〜!止めてよ〜」

私が言いたくない事があり、何か隠し事をしているのが美華にはすぐにバレてしまった。


 美華「まぁいいやっ!なんかあったら私にいつでもいいなよ。私は唯愛の味方だからね!」

そう言ってくれた。



 美華は中学校の時から一緒で突如転校してきた子だ。

前の学校ではどうだったのかとかは特に聞いたことはなかったが、私もその事が気にならないぐらいすぐに仲良くなった。


 初めから席も隣どおしになることが多く、よく授業中、横から耳元で急に囁かれていたり、そうやってからかわれたと思えば、私がクラスで馴染めていなかった時期、彼女はずっと私のそばにいてくれた。


 見た目も可愛く、周りの女子、男子共に人気が高く、高校に入ってからでも10人以上の男子に告白されていた。


だが全員断ってきたらしい。


なんで断ったの?ってきいても、彼女は相変わらず私のタイプじゃないとその1点張り。


やはりモテる女の子は違うなと感じた。


でもなんでそんな彼女が私に?ってなるのだが、彼女いわく私の素直で真面目な所がそこら辺の他の人にはない、いい所だと前に言ってくれたことがある。


 こうして、彼女が私の事をそう思ってくれて、そばにいてくれてるから、私の期待していなかった高校生活も楽しめているのだ。


 少しボディタッチが多めで恥ずかしいけど。


そんな美華と今日もお昼ごはんを食べながら女子トークで盛り上がる。


 美華「ねえこの雑誌見てー!高校生のカップルがインタビュー受けてるわ。ここ読んでみて」


 唯愛「僕は高校卒業したら彼女と結婚するつもりです」


 美華「そう!本当に結婚するのかね?それを聞いた彼女がほら見て!ドヤ顔でカメラ映ってるけど、自信あるんだろうね〜」


私は思った。


昨日動物園では卒業したら付き合おうと言われ、彼と約束したがそれはただの言葉の約束。時間も空くし、彼の気持ちだって変わるかもしれない。


また私は不安な気持ちになった。


 美華「ん?唯愛?大丈夫?」

私がほんの少し寂しい顔をした事に、すぐ気づいた彼女。


 美華「大丈夫唯愛!私は卒業しても唯愛のそばにいるよ。だから...。安心しなさーい!」

と優しく頭を撫でてくれた。


いつもこうしてすぐ安心させてくれる。

でももしかしたら、私と圭との関係を薄々気づいているのかもしれないと思った。


 彼女にバレたくないというのはそこまでなかったが、一応教師と生徒の恋愛は駄目である。


この不安な気持ちが解消すれば、彼女にも迷惑かけることもないと思い、私は先生に手紙を書いた。


 「学校でも二人になれるときはなりたいです」

と...。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る