第8話 夢デモ現実デモ
唯愛「先生なんで私なの?!」
圭「俺だってわからないよ。でも...」
唯愛「お昼私が職員室に行ったとき、あの人とあんな楽しそうに話してたじゃん」
圭「....」
唯愛「あの人綺麗だし可愛いもんね」
圭「...」
唯愛「一体あの人とはどんな関係なの?」
圭「...ただの同僚だよ」
唯愛「私にキスしておきながら、私に抱きしめておきながら、あの人と一緒にいるとき、私でも見たことない笑顔を圭はしてた。ただの同僚には全く見えなかったよ。ねぇ。あの人とはどんな関係なの?私の事どう思ってるの?........」
はっ!と目が覚めた。
お昼の最後の授業中。圭とお昼ごはんを一緒に食べお腹いっぱいに満たされた私は眠ってしまい夢を見ていた。
けれど夢のようにハッキリと圭に聞けない。
あの彼のトンカツ食べた時の笑顔みたら嫌なこと全部吹き飛んじゃう。
それに、聞きたいけど答えを聞くのも怖い。
あの時の圭の笑顔はその時間、嫌なことを全部吹き飛ばしてくれる。
けれど、本当その瞬間だけ。
そばからいなくなると不安な気持ちになってしまう。
あのキスだってそう。
迫られたとき、一瞬にして彼に全てを捧げたくなってしまった。
けれどそれがあった事で、私は今悩みに悩んでしまっている。
これがよくいう恋の悩みってやつなの?
何か違う気がするのだけど、今まで私は恋愛をしてきたことがないからわからない。
圭は今までたくさん恋愛してきたんだろうな
と思った。
あれはきっと私じゃなかったとしても、秒殺で私と同じ状態になってるはず。
雰囲気作りとキスへの持っていき方が余りにもうますぎる。
これが大人の男性ってか
夢から目覚めた私も尚、彼の事で頭いっぱいになっていた。
こうしている内に授業も終わり、帰る準備をしていた。
美華「ふぅー!今日もやっと終わったー!疲れたね唯愛。そういえば美華、今日珍しく授業中寝てたよね?」
そう言いながら自分のおでこに手の平を当ててきた。
やっぱり美華はちゃんと見てる。
唯愛「最近寝付きが悪くて...」
美華「そっかそっか!眠たいときに寝るのが一番だもんねっ!よしっ!今日はバイトないし一緒に帰ろー!」
その彼女の言葉。
嬉しかった。
私も今日は一人で帰りたくなかった。
また変な事色々考えちゃうから。
いつもこうして元気に誘ってきてくれる美華に、私は感謝していた。
カバンを持ち、後ろの扉から教室をでようとしたその時、前の扉がガラッと空きそこには通常モードの圭がいた。表情を見ただけですぐにわかる。
圭「七瀬さんいますかー?」
彼が通常モードなら私も。
唯愛「...はい」
圭「七瀬さんの宿題のプリントが廊下に落ちてたから」
と担任の先生らしいオーラを出しながら、彼は私の所にきて折り畳まれている紙を渡してきた。
唯愛「すみません」
いくら私も通常モードであれ、やはりどういう風に彼と話したらいいかわからない。
彼が笑顔の時は私も笑顔になれる。けれど今は...。
そお言ってなるべく彼の顔を見ずにその場を立ち去る私。
そしてそれを追いかけるように美華も帰った。
その後...。
美華「唯愛ー!もう置いて行かないでよー!」
気づけば私は学校から遠く離れた家の近くまで出ていた。
唯愛「ごめん」
美華「先生って本当あんまり顔に出さないから何考えてるかわからないよねー。顔はカッコいいのに」
彼は教室にいるときは表情のバリエーションが本当に少ない。あんな笑顔ができるのに。
美華「じゃあ私こっちだからまた明日ねー!」
自分勝手な行動をしているのにいつでも優しくしてくれる彼女は本当に姉のようだった。
少しの時間でも腕を組んで一緒に帰ってくれた。
いつもごめんね。と思いながら帰り、自分の家に着く。
すると靴を脱ぐときに、先程彼に返してもらった折り畳まれた紙がスッと下に落ちる。
それを拾い何を思ったかその場で紙を広げた。
そこには...
「今度の土曜日10時。熊谷動物園に行こう。正面入口で待ってる」
と彼の鋭く力の入った字でそう書いてあった。
そう。私は圭と初めてデートをすることになったのだ。
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