第10章397話:古代樹の森5

すると坊主のケンタウロスが鼻を鳴らした。


「威圧だと? ふン、あなどられたものだな」


彼は続ける。


「そんなおどろかしのような精神攻撃に、俺たちが屈するものか」


「そうだぜ。ナメたことしやがって。ぶっ殺してやる」


そう告げたのは茶髪のケンタウロス。


彼はこちらに向かって突進を始めた。


走りながらぐるんぐるんともてあそぶように長槍ちょうそうを振り回す。


そして。


「オラァッ!!」


私とアリスティのあいだを裂くように、斬りかかってきた。


アリスティは右に、私は左に飛んで回避する。


「ふっ!!」


と女ケンタウロスが呼気とともに、槍を投げてくる。


轟風ごうふうをまといながら、私に向かって飛んでくる槍。


恐ろしく速い投槍とうそうだ。


おそらく威力も高い。


受けるのは危険だと思い、横にステップを踏んで回避した。


槍は私の後ろの大樹に直撃し、まるで爆発したかのような轟音を立てながら、みきに突き刺さった。


(あんなのを食らったら大変だね)


と私は身震みぶるいする。


「よそ見してんなよ!!」


と茶髪ケンタウロスが私に迫っていた。


槍を振りかぶる。


しかし。


「よそ見はあなたです」


「!?」


アリスティが茶髪ケンタウロスに迫っていた。


軽く跳躍ちょうやくしたアリスティが、茶髪ケンタウロスの胴体に向かってパンチを繰り出す。


「っ!」


茶髪ケンタウロスが慌てて槍でガードする。


その槍の腹にアリスティの拳が直撃する。


「っ!!?」


アリスティの拳が、いとも簡単に槍をへし折った。


そして茶髪ケンタウロスが驚愕したのもつか


アリスティの拳は、そのまま茶髪ケンタウロスの胸部きょうぶにヒットした。


直後。


「ごぶっ!!?」


茶髪ケンタウロスが盛大に吹っ飛ぶ。


一回転いっかいてんしながらぶっ飛び、地面を何度ももんどり打って、樹木に激突した。


もちろん即死である。


「なっ!?」


「馬鹿な……!?」


残った2人のケンタウロスが驚愕している。


まさか仲間が、たった一撃でやられるとは思っていなかったのだろう。


私は微笑む。


「まずは一人、撃沈げきちんですね」


2人のケンタウロスが険しい顔つきを浮かべる。


そして。


「よくも!」


と女ケンタウロスが、私に斬りかかってくる。


私はアサルトライフルをアイテムバッグに収納して、代わりに、ショットガンを取り出した。


女ケンタウロスに銃口を向ける。


女ケンタウロスは回避のモーションに入った。


私は構わず、がねいた。


「あぎゃっ!!?」


ショットガンから炸裂した散弾さんだんが女ケンタウロスにいくつも突き刺さった。


すぐさま二発、三発、四発と発砲する。


「あぎっ!? ぐぎゃっ!?」


女ケンタウロスに無数の散弾が命中し、たまらず転倒した。


「ケンタウロスは的がデカくていいですね。散弾が当たりやすいです」


と言いながら、私は高くジャンプした。


空中でショットガンをアイテムバッグに収納し、代わりに剣を取り出す。


その剣を垂直に向けて、女ケンタウロスのうえへと降下した。


「いぎゃああああぁぁぁっ!!!???」


彼女の脇腹に突き立つ剣。


女ケンタウロスは断末魔だんまつまの悲鳴をあげて、絶命ぜつめいした。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る