第10章395話:古代樹の森3

さらに森の奥へと進む。


魔物が続々と現れる。


花の形をした魔物【ツボミナツハ】


熊の魔物【ヤァールゴベア】


巨大フクロウの魔物【ヒュズルグ】


巨大な蛇の魔物【キースケル】


全体的にサイズが大きく、魔力も高く、強い魔物が多い。


アリスティの攻撃はもちろんこれらの魔物を一撃でほうむる。


私もアンチマテリアルライフルで敵を倒していく。


アンチマテリアルライフルの魔弾は【古代樹の森】のモンスターにも余裕で通用する。


(もともとアンチマテリアルライフルは、サンドウルフキングすら仕留しとめた武器だからね)


威力が十分だ。


私とアリスティは、なんなく森を攻略していく。


さらに30分ほど歩く。


いよいよ浅層せんそうを抜ける頃合ころあいだ。


と。


そのときだった。


「おい! こんなところに人間がいるぜ」


と声がした。


現れたのは3人のケンタウロスだ。


坊主の男ケンタウロス。


茶髪の男ケンタウロス。


黒髪の女ケンタウロス。


上半身が人間、下半身が馬となった獣人族じゅうじんぞく――――ケンタウロス族は、人語じんごかいするため、人間族とは友好的な関係を築いている。


しかし。


眼前の3人には、良くない雰囲気を感じた。


「冒険者か。ツイてるな」


と坊主のケンタウロスが言った。


「そうね。狩ったら良いカネになるわ」


と女のケンタウロス。


アリスティは警戒の目で彼らを見つめながら、つぶやく。


「ケンタウロス……しかし、まともな連中ではありませんね」


私は同意した。


「そのようですね。……あのー、すみません! 質問があるんですが、あなたがたは賊ですか?」


と念のため、ケンタウロスたちに確認しておく。


すると茶髪のケンタウロスが笑った。


「くくく。『賊ですか?』だってよ。えらく直球な聞き方をしてくるじゃねえか」


坊主のケンタウロスは能面のまま答えてくる。


「賊だといったらどうする?」


「ケンタウロス族と争うつもりはないので、できれば見逃していただけると助かるんですが」


と私は言った。


すると女ケンタウロスが告げる。


「賊が獲物を逃がすわけないでしょ。バカじゃないの?」


「獲物、ですか。あなたがたは森に来た人間を狩ってるんですか?」


と私が尋ねると、茶髪のケンタウロスが答えた。


「そうだぜ? この【古代樹の森】にやってきた冒険者どもは、結構良いアイテムや装備を持ってるからよ。それらを略奪して売り払えば、良い稼ぎになるんだよ」


なるほど。


古代樹の森を訪れるような冒険者は、そこそこの手練てだれだ。


だから装備やアイテムも充実している。


そういう中級冒険者や上級冒険者から略奪をおこなうことで、大きな利益を得ているわけだ。



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