第10章369話:応接室

応接室おうせつしつの前までやってきた。


扉をノックする。


「エリーヌ様とアリスティ様をお連れいたしました」


とメイドが説明する。


「入りなさい」


と中から姉上ローラの声。


メイドが応接室の扉を開ける。


私たちは中へと招かれる。


――――応接室。


そこそこ広い部屋だ。


向かい合うソファーとテーブル。


庭が眺められる大きな窓。


右の壁には棚が配置されており、調度品ちょうどひんや書物が並べられている。


左の壁には小さい絵画、中くらいの絵画、大きな絵画……の3つが掛けられていた。


ソファーに二人の女性が座っていた。


そのうち一人は王女殿下である。


第二王女スフィーア。


年齢22歳。


身長162センチぐらい。


髪は前髪を大きく左右に分けて、おでこを露出したヘアスタイル。そのうえでロングヘア。なお髪の色は茶色である。


目は黄色い瞳をしている。


服装は紅色のワンピースドレスだ。貴族っぽいエレガントさもあるが、普段着としても使えるようなドレスである。


背後に二人の男性騎士が控えている。


さすがに王女様は、華やかである。


目を奪われるような気品があり、かつて出会ったシャーロット殿下を思い起こさせる。


しかし。


私が本当に、目を奪われてしまったのは、王女スフィーアではない。


その隣に座る、もう一人の女性。


(わ、和服わふく!!?)


と一瞬、思ってしまったような衣装だったからだ。


その女性は、着物を着ていた。


巫女服みこふくやサムライふく酷似こくじした、はかまである。


なお身長は156センチぐらい。


髪は黒髪のおさげ。


目は赤い瞳。


ちなみに背後に、護衛の女性を控えさせていたが、その女性も和服だった。


というか忍者だ。


くノいちのような忍者装束にんじゃしょうぞくに身を包んだ、やはり黒髪の女性である。瞳の色は緑色だ。


身長は175センチぐらいで、なかなか長身である。


(和風だ……!)


どう見てもサムライの女性と、忍者の女性……!


やばい。


激しく素性を聞きたい!


「お待ちしておりましたわ」


と第二王女スフィーアが告げた。


「お待たせいたしまして、申し訳ありません。王女殿下から会合の席にお呼びいただけるのは、とても光栄です」


「堅苦しい挨拶は必要ありませんわ」


と第二王女スフィーアが言った。


殿下は、ざっくばらんとした性格である……と聞いていたが、どうやら本当らしい。


するとローラが言った。


「エリーヌは、こっちに座ってちょうだい」


ソファーに座るローラ。


その隣をトントンと叩き、そこに座れと合図してくる。


私はうなずき、移動した。


途中。


「おお……彼女がアリスティ・フレアローズか」


とサムライの女性が言った。


「そして、私の正面に座ったこちらの貴婦人きふじんが、アリスティ殿の主人――――エリーヌ・ブランジェか」


ちょうど着席した私に対して、サムライの女性が興味深そうな目を向けてくる。


どうやら彼女は、ランヴェル帝国語を話せるようである。

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