第10章365話:必要素材

ふむ。


すごく色々わかることがある。


まず人魚石にんぎょいしは、湖に人魚が穏やかに暮らした場合しか、発生しない石であること。


人魚にストレスがあると、人魚からよどんだ魔力が湖に広がり、人魚石がそもそも生まれないか、もしくは既に生まれていた人魚石がくだる。


つまりユリシェはあの湖で、穏やかに暮らしていたからこそ、人魚石を生んだのだろう。


ユリシェがどんなふうに湖で生きてきたのかわからなかったけど、少なくとも安寧あんねいの日々を送っていたことを知れて、私は喜ばしく思った。


……さて、人魚石の正式名称は【人魚の秘宝】ではないかと示唆しさされている。


一般的に鑑定能力がない限り、モノの正式名称はわからない。


私は鑑定杖かんていづえであるダファルダムのおかげで、人魚石の正式名称がわかったけど、全ての学者や研究者が鑑定をおこなえるわけではない。


鑑定ができない場合は、テキトーに名前をつけておく。


そして、あとで鑑定が済んだときに名前を修正するのが常である。


人魚石に関しては、過去に鑑定をして正しい名称を知った者は存在したようだが、その名称が正式登録されないまま時代が流れてしまった感じだろう。


「さて……」


人魚石の情報はわかった。


次は【人魚の指輪】についてチェックしよう。


私は次のページを開く。


そこには人魚の指輪に関する情報が記されている。


ざっと目を通すことにした。


内容は以下である。




◆◆◆

人魚の石を使って作ることができる物として、【人魚の指輪】がある。

今のところ人魚の石の用途は、この指輪の製作すること以外にわかっていない。

もしかしたら別の使い道があるかもしれないが、研究が待たれることである。



①【人魚の指輪】の効果について

指輪をめると、極めて高い水泳スキルを習得することができる。

魚や人魚のように水中を泳ぐことが可能になる。



②【人魚の指輪】のレシピについて

指輪は錬金魔法によって製作する。


ただし、非常に高度な錬金魔法のスキルが必要であり、通常の錬金魔導師では製作せいさく不可能ふかのうとされている。

実際、過去に何度か、高名こうめいな錬金魔導師が製作にチャレンジして、失敗したという記録が残っている。


このため、指輪のレシピそのものが間違っているのではないか……という推測も成されている。


大陸の歴史上、太古の時代に一度だけ製作に成功した事例が残っている。

この製作者である錬金魔導師・クアエステルが、指輪のレシピを記録した。

以下に、そのレシピを記す。


まず必要素材は下記の通りである。


・人魚の石x1

・水の魔石x10

・魔宝玉x1

・古代樹の尖花x1

・シシドラコの鱗x1


(なお、以上の素材を用いて、どのように製造するかについては、次のページにて記載する)


◆◆◆





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