第10章363話:休息

そのあと、しばらくユリシェと小一時間ほど雑談を交わした。


久しぶりにユリシェと話すことができて、とても満ち足りた時間となった。


帰り道。


キャンピングカーに乗って、走る。


車内のリビング。


人魚石について鑑定しておこうと思った。


テーブルの上に人魚石を置く。


テーブルの横に立った私は、アイテムバッグからダファルダムを取り出して、鑑定をおこなった。




◆◆◆

【人魚の秘宝ひほう

人魚の魔力が溶け込んだ湖から、稀に発生する秘宝。

人魚の魔力と、んだ清浄せいじょうさを内包ないほうしている。


◆◆◆



おお?


なんだかすごそうなアイテムだ。


ユリシェは人魚石という名前で呼んでいたが……正式名称は【人魚の秘宝】なのか。


(でも、何に使うんだろう?)


用途がわからない。


アイテム図鑑ずかん素材そざい図鑑ずかんっていたりしないだろうか。


あとで調べてみることにしよう。






翌日。


晴れ。


私は、この日、何もせずにダラダラと過ごすことにした。


最近いろいろあったからね。


気を張っていたこともあったので、しっかりと休んで、英気を養いたいと思ったのだ。


なので、屋敷の自室にこもって、のんびりする。


ベッドに寝転ぶ。


「すー……はー……」


深呼吸をする。


深く、深く、呼吸をする。


疲れを外へと吐き出し、清新せいしんな空気を取り込むように。


そして目を閉じて、マインドフルネスをする。


心を落ち着かせ、精神統一を図る。


頭をからっぽにして、何も考えない。


思考を無にした状態で、深呼吸を繰り返す。


頭の中から雑念が消えて、だんだんクリアになっていく。


散漫になっていた神経も少しずつ和らいでいき……


ゆったりとした時の流れを感じられるようになる。


ストレスの緩和。


リラックス。


優しく穏やかな感情。


「……」


5分。


10分……と、頭をからっぽにした状態で深呼吸を繰り返す。


だんだんと脳が休まってくるのを感じた。


頭が冴えわたり、きらきらとした光が、まぶたの裏にちらつく。


ベッドのやわらかさ。


ぽかぽかと暖かい日和ひより


心がやすらいでいく。


15分が経過した。


いつしか私は眠くなり……


深い眠りの園へといざなわれていくのだった。




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