第10章358話:屋敷へ
その後、私とアリスティは
夜が明ける。
朝。
私はキャンピングカーでブランジェ家の屋敷へと移動する。
なお、お酒を飲んだことで少し
ゆえに
二日酔いが覚め、気分がぐんと良くなる。
その状態で、私は屋敷に帰りついた。
「おかえりなさいませ」
執事が出迎えてくれる。
私はキャンピングカーを片付けつつ、執事の先導で屋敷の中へと入った。
屋敷の廊下を歩く。
途中から執事に代わって、メイドが先導してくれる。
メイドにつられて歩いていると、私は自分の部屋の前に立っていた。
「私の部屋……」
私は部屋の扉を開けて、中に入った。
「あ……」
ぽつりと、声をもらす。
部屋の中には、かつての光景が広がっている。
私が屋敷を追放される前の状態だ。
じゅうたん。
テーブル。
椅子。
ベッド。
サイドテーブル。
ドレッサー。
壁の絵画。
(家具はそのまま……?)
いや……
よく見ると、多くの家具が新品だ。
そこから私は、なんとなく察した。
たぶん私が追放されてから、部屋の家具は一度撤去されたのだろう。
「新しい家具を用意してくれたんですね?」
と私がメイドに尋ねる。
するとメイドは肯定の返事をした。
「はい。
「なるほど」
姉上らしい気遣いである。
「……」
私はしばし、自分の部屋の中で、何をするともなくたたずんだ。
家具は新品ではあるものの、配置は、以前のままと変わらない。
だからだろうか、古い記憶がいくつもよみがえってくる。
屋敷での思い出は、嫌なものも多いのだが……全てが終わった今となっては、それらさえも懐かしむことができた。
「エリーヌ様」
とメイドが声をかけてくる。
「朝食を用意しております。ローラ様がお待ちですので、食堂のほうへお越しください」
「わかりました」
と私は答える。
自室を出て、食堂へ向かった。
廊下を歩き、ほどなくして食堂にたどりつく。
テーブルクロスが掛けられた、長いテーブルに姉上が座っていた。
執事やメイドが部屋の
私はテーブルに着いた。
アリスティは、使用人たちに混じって、隅のほうに控える。
……私が食堂に到着したので、食事が運ばれてきた。
山菜を使ったサラダ。
川魚の焼き魚に植物由来のソースをかけたもの。
あとはパン。
そしてミルクである。
朝にお腹に入れるものなので、全体的に量は少なめだ。
美味しそうな匂いが鼻腔をくすぐり、食欲が刺激される。
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