第9章350話:二刀流?
「……!?」
刺突を避けられ、しかもカウンターまで合わせられたリシアの、驚愕の息が聞こえてくる。
だがリシアはすぐさま身をひるがえして、私の斬撃を回避した。
いったんリシアが距離を取る。
私は、驚く。
(このタイミングでもダメか……)
私は今、完璧なタイミングでカウンターを放ったはずだ。
相手の狙いを読みきったうえでの反撃。
……それでも
どころか、かすり傷ひとつ負わせられていない。
まともに戦っちゃダメだね。
他のセラスは倒せたけど、私がリシアに打ち勝つのは不可能だ。
さっさと音響兵器を使ってしまおう。
「今のを避けますか」
とリシアが言ってきた。
「強くなられましたね。昔とは見違えるほどです」
そうリシアが賞賛してくる。
さらに彼女は告げる。
「……しかし、あなたでは、私に勝つのは不可能です。アリスティ様と
「それはどうでしょうか」
どのような攻撃が来ても、リシアは回避できる自信があるのだろう。
避けきれない攻撃であっても、いざとなったらジャストパリィで完封できる。
アリスティの攻撃すらジャストパリィで防げるなら、私なんて怖くないのだろう。
(実際、アサルトライフルの弾ぐらいなら、かわすかジャストパリィできるんだろうね)
と私は推定する。
マッハ2以上の速度が出るアンチマテリアルライフル
しかし、私が今回使おうとしているのは、音響兵器だ。
ジャストパリィは不可能だし、回避するのも不可能。
リシアにとって、最も
「フレッド様を殺したあなたを、私は決して許さない」
とリシアは告げる。
「ゆえにここであなたを
「そんなに復讐を遂げることが大事ですか? あなたがたセラスなんて、しょせん兄上にとっては、道具としての価値しかなかったでしょうに」
「……たとえ道具であったとしても、私たちを
フレッドは、セラスを組織するにあたって、出自を全く問わなかった。
血筋や階級や身分など、一切問わず、才能や能力だけで選出したのがセラスである。
ゆえにセラスの人員の中には、貧民や孤児など、過去に恵まれない立場にいた者も少なくない。
そういうセラスほどフレッドを神のように信仰し、絶対的な忠誠を誓っているのである。
「まあ、あなたがたの忠誠心はわかりました。しかし私にとっては、
と私は告げる。
「私は、このキャンピングカーで、今後も快適な旅をしていきたいと思っています。それにあたって、あなたもセラスも、邪魔でしかありません。兄上が残した負の遺産は、今日、全て滅ぼさせていただきます」
私は
私が自作した特殊な魔法杖だ。
その魔法杖を左手に握る。
ちなみに右手にはショートソードを持っている。
ショートソードと魔法杖の
私は音響兵器でリシアを仕留めるつもりだが……
ブラフとして、さも剣と魔法で戦うかのような雰囲気をかもしだしておく。
「来なさい。あなたの憎しみを、兄上に
そう私は宣言する。
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お知らせ:
キャンピングカーの車の色についてですが、水色としていたところを、白色に変更いたしました(本作の第1章7話)。
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