第9章333話:サリザ
「……!」
さらに、
蹴り落とそうと思ったが、すでに昇りきってしまった。
私はアイテムバッグから剣を取り出して、女兵士に斬りかかる。
「ふっ!」
上段から剣を振り下ろす。
「っ!」
すぐさま女兵士が剣の腹で、私の斬撃を受け止めた。
ガキィンッ、と鉄のぶつかる音が鳴って、火花が散る。
つばぜりあいになる。
が。
私は、ふっと力を抜く。
「!?」
急な脱力に、女兵士が
直後、私は相手の腹部に蹴りを叩き込んだ。
「きゃっ!!?」
蹴りによって吹っ飛んだ女兵士が、キャンピングカーの屋上から投げ出され、転落していく。
地面に落下したあと、後ろへと流れていった。
「ふう……」
私はひとつ深呼吸をする。
ひとまずよじのぼってくる兵士は、いなくなった。
と思っていたが。
「……!」
最後に一人、キャンピングカーの屋上へとのぼってくる者がいた。
よく見知った相手。
サリザである。
右手に剣を持っている。
よじのぼったサリザは、その場に立ち上がり、私と目を合わせた。
「よう、エリーヌ?」
サリザがこちらに近づきながら言ってくる。
「戦争が始まってから、ずいぶん活躍してるみたいじゃねえの。驚いちまったぜ」
サリザが立ち止まった。
私と3メートルぐらいの距離をあけて
「でも、テメエの活躍はここまでだ」
サリザは言った。
「なぜなら、あたしが来たからな」
「あなたが来たら、どうして私の活躍が終わるんですか?」
「決まってんだろ。――――テメエは、あたしには勝てねえからだ」
とサリザがせせら笑う。
サリザが続ける。
「しょせん、テメエは雑魚。アリスティに良い道具を提供してもらって、活躍させてもらってるだけだ」
「……良い道具?」
「たとえば、この
サリザがキャンピングカーの屋上を、かかとでトントンと叩く。
「この馬車は、アリスティがどこかで確保してきたものだろ?」
いや、違うけど……
サリザは勘違いしたまま、続ける。
「さらにお前が撃ちまくってた新しい矢」
新しい矢?
アサルトライフルのことかな?
「アレもアリスティが提供した
「いえ……私が使っていた武器も、あなたが新型馬車と呼んだこのキャンピングカーも、すべて私が錬金魔法で
「はぁ?」
「ひゃはははは! バレバレのウソついてんじゃねーよッ! お前は、ロクに錬成もできなかった無能じゃねえか! こんな優れた道具を、作れるわけがねえ!」
サリザが笑い転げる。
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