第9章331話:最強の戦士4

しかし。


アリスティがいよいよ本陣まで近づいたとき。


いかせまいとする兵団があった。


「ここは通さん!!」


「簡単に大将のもとへいけると思うなよ!!」


誰もがアリスティを避ける中、彼らは、勇敢にもアリスティの進路へ立ちふさがる。


5人、7人……


いや10人だ。


彼らはドラレスク将軍の配下であり、精鋭である。


その精鋭10人が壁のごとく立ちはだかって戦列をなし、アリスティの進路を妨害しようとした。


「……!」


アリスティは、やはり、お構いなしに突っ込む。


10人の戦列に、アリスティが突撃をかます。


「ぐ、おおおおお!!?」


「ちぃぃッ!!」


「……なんて、圧力!!」


「でも……受け止めたわ!!!」


アリスティの動きが止まる。


10人の戦列のうち、アリスティとまともにぶつかってしまった最前列の3人は、死んでしまったが……


残りの7人が、アリスティの進行をなんとか食い止めていた。


「将軍のもとへは、行かせん……!!」


「このまま押し返すわよ!!」


と7人が気合いを見せる。


「……ッ!!」


アリスティが、力を込める。


その瞬間。


ずん、


ずん、と。


7人が、押される。


アリスティのパワーに、圧力に、力負けしていく。


「くっ……!!」


「あたしたちが束になっても、勝てない!?」


「いいや、まだだ!! あきらめるな!!」


「気合いを見せろ。うぉおおおおおおおおおおおお!!」


7人は気炎きえんをあげて、アリスティを押し返そうとする。


彼らは選ばれし精鋭。


帝国軍の中でも、よりすぐりの軍人だ。


そんな7人の精鋭が、最大の身体強化魔法を込めて、アリスティの圧力を跳ね返そうとする。


だが。


それでも。


アリスティは止まらない。


一歩、一歩と、前に押し進む。


男兵士は、アリスティを正面から押さえ込んだ。


女兵士は、アリスティの腕に、腰に、足に、しがみついた。


意地でも行かせまいとする7人。


けれどアリスティは、7人の圧力にたった一人で対抗する。


「――――――!!」


次の瞬間。


アリスティが、全てを振り払うように、力強く前進した。


「かはっ!!?」


「きゃああっ!!?」


それにより、7人の兵士たちが吹っ飛ばされ、ひっくり返った。


7人を突破するアリスティ。


「ふぅー……ッ」


アリスティが吐息といきを吐く。


まるで鬼神きじんのごとく、アリスティの全身からオーラが漏れ、風にたなびく。


誰も、この歩みを止めることはできないのだと、見せ付けるかのごとく。


そして。


いよいよアリスティはブロストン本陣へと到着した。




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