第9章326話:大爆発

木箱の中に入っていた数十個すうじゅっこ魔法爆弾まほうばくだんが、白い光の大爆発だいばくはつを起こす。


凄まじい轟音ごうおん


大地を揺るがす震動しんどう


光の爆発は、超巨大ちょうきょだいなドームじょうの形を取っていく。


その半球状はんきゅうじょう爆発光ばくはつこうの周囲には、らせんじょうに暴風が吹き荒れ、近くに存在するものを根こそぎ吹き飛ばす。


爆発に飲みこまれた兵士や、爆風ばくふうに吹っ飛ばされる兵士。


風の余波よはが空の雲までも吹き散らし、キャンピングカーにまで激しい風圧ふうあつが押し寄せてくる。


「……ッ」


立っているのが厳しくなり、私はひざをついた。


私はキャンピングカーが倒れないか心配になった。


実はキャンピングカーは、横殴よこなぐりの風に弱い。


これだけの風圧に打たれれば、横転おうてんの可能性もある。


「これは……凄まじい威力ですね」


とアリスティが、冷や汗を浮かべながらつぶやく。


やがて爆発の光がゆっくりと消失する。


それにともなって、風もんでいった。


あとには黒煙こくえん砂塵さじんが舞い上がっている。


爆発があった場所には、巨大なクレーターが生まれていた。


ブロストン兵は、誰も動かなかった。


暴風に吹っ飛ばされて倒れた者もいれば。


呆然と突っ立っていたり、腰を抜かして座り込んでいる者もいた。


戦場に静寂せいじゃくが立ち込める。


私はつぶやく。


「さて……あとは姉上の突撃を待つだけです」


「……もう勝負はついたんではないでしょうか?」


とアリスティはそう尋ねてきた。


私は答えた。


「ブロストン軍に与える衝撃は大きかったと思いますが、いまの爆発で殺せたのはせいぜい500人程度です」


私は説明する。


「今回は、相手の心を折れば勝ちなのではありません。二度とブランジェ家に刃向はむかえないぐらい、徹底的な敗北を刻み付けなくてはいけません。そのためには、兵士も将も、根こそぎ殺しておかないと……ね」


「なるほど。容赦がありませんね、お嬢様は」


とアリスティは苦笑した。






<ローラ視点>


戦場で起こった大爆発。


凄まじい光景だった。


それなりに距離があるここからでも、異常な爆発だと認識できる。


エリーヌが引き起こした爆発。


その一撃で、いったいどれほどの将兵しょうへいが消し飛んだだろう?


想像を絶するような破壊力である。


「これが全て、エリーヌの力……?」


今回の攻撃や作戦は、明らかにアリスティによるものではない。


キャンピングカー、銃火器、爆弾などは、エリーヌが錬金魔法によって開発したものだと、いくさの前にアリスティが証言している。


にわかには信じられない。


目の前の攻撃が、全てエリーヌのおこなった攻撃だというのか。





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