第9章322話:魔法兵

よし。


まず一人目。


「次……」


少しアンチマテリアルライフルの銃口じゅうこうを動かして……


少し高価こうかそうなよろいに身を包んでいる女戦士おんなせんし照準しょうじゅんを合わせた。


あれはブロストン軍に参加している騎士だな。


私は、がねを引きしぼる。


ズドォンッ!!


アンチマテリアルライフルの魔弾まだんが、女戦士に直撃する。


彼女の上半身を半分、吹き飛ばした。


「やっぱりアンチマテリアルライフルは、チート武器だよね」


私はしみじみ思う。


射程1500メートル前後というのは、あまりにも規格外すぎる。


しかも銃弾はマッハ速度そくどを越えているので、音すらりにする。


撃たれる側は、撃たれたあとに発砲音はっぽうおんが聞こえてくるのだ。


一流の戦士じゃないと防ぐことは不可能である。


ブロストン軍からすると、イグーニドラシェル並みに厄介な銃火器じゅうかきだろう。


――――私はアンチマテリアルライフルによる銃撃を続け。


あっという間に20人の敵将てきしょうほうむることに成功した。


「ふう……」


深呼吸を一つ。


「順調なすべしですね、お嬢様」


アサルトライフルを撃っていたアリスティが、銃撃の手を止めて言ってきた。


私はうなずく。


「ええ。しかし、そろそろ反撃が来ると思います」


「反撃ですか」


「はい。……おっと。噂をすれば」


私は空を見上げる。


視界のやや遠くの位置から、舞い上がる光たちがあった。


――――魔法弾まほうだんである。


赤、青、紫など、さまざまな色をした数十すうじゅう魔法弾まほうだん


その魔法弾たちは、まるで空に向けて放った矢のごとく、光のを伸ばしながら天へと伸びて。


最高到達点さいこうとうたつてんを越えると、放物線ほうぶつせんえがきながら下降かこうしはじめ、キャンピングカーの屋上に向かって落下してきた。


魔法兵まほうへいが撃ってきたようですね」


魔法兵とは、魔法を使う兵隊のことだ。


弓兵ゆみへいと並んで、異世界における遠距離攻撃えんきょりこうげきかなめである。


今回みたく、魔法弾による弾幕だんまくって攻撃してくることが多い。


「まあ」


私は告げる。


「私に魔法は、効きませんけどね」


私は手のひらを空に向ける。


そこに透明の結界を展開する。


次の瞬間。


空から落下してきた魔法弾たちが、キャンピングカーへと着弾ちゃくだんしそうになり――――


しかし、すんでのところで、結界に阻まれて、消失した。


「魔法を無効化する結界です」


「さすがお嬢様です。これならば、魔法の遠距離攻撃は怖くありませんね」


とアリスティが微笑んだ。


一応、キャンピングカーそのものにも魔法耐性まほうたいせいをほどこしてある。


だから結界で防がなくても、あの程度の魔法弾なら耐えられる。


しかしキャンピングカーの魔法耐性は、魔法を無効化するほど強力ではないので、できれば魔法弾の直撃は避けたい。


ダメージが蓄積ちくせきしてキャンピングカーが壊れても嫌だからね。


「では、魔法弾を撃ってきた者たちに、反撃しましょう」


と私は言った。


「了解です」


とアリスティが返事をして、アサルトライフルを構える。


私も機関銃の前に立つ。





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作者は、本作の他にも異世界ファンタジーを執筆しています!

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