第9章319話:ブロストン兵の視点

<ブロストン兵の視点>


ブロストン軍の中を突っ込んでくるエリーヌたち。


キャンピングカーという、誰も見たことがない馬車に、ブロストン兵が困惑していたのもつか


兵士たちは、すぐさま阿鼻叫喚あびきょうかんとなった。






「うああああああああッ!!」


「やべえ!! なんか飛んできてるぞ!!?」


「矢じゃない!? なんなのこれ!?」


「あ、ああ、足が、足がああああああ!!」


「隊長が撃たれたわよ!!」






キャンピングカーの屋上から、何かがかぜる速度で飛来ひらいしてきて、兵士たちの命を次々とっていく。


ズダダダダダッ!!


ドドドドドドッ!!


と、けたたましい轟音ごうおんだけが鳴り響いている。


いったいこの攻撃はなんだ?


弓矢なのか?


魔法なのか?


兵士たちにはわからない。


なぜなら、あまりにも速すぎるからだ。


マッハ速度そくどで飛んでくる弾丸だんがんを、肉眼にくがん目視もくしできる兵士は多くない。


「きっと、ブランジェの新兵器しんへいきだ……!」


「なんてものを投入してきやがる」


「と、とにかくあの新型馬車しんがたばしゃを止めるぞ!!」


「おう!!」


混乱が広がる中でも、ブロストン軍の隊長たいちょうたちは判断が早かった。


彼らは、新兵器の正体しょうたい見極みきわめるよりも先に、キャンピングカーを止めるべきだと考えた。


このままキャンピングカーを好きにさせておくと、軍がぐちゃぐちゃにかき乱されてしまうからだ。


だから隊長たちは、部下を引き連れてキャンピングカーに突っ込んだ。


「「「うおおおおおおおおおお!!」」」


喊声かんせいを上げて、走行するキャンピングカーへと近づく。


しかし。


「な、なに!?」


「速え!?」


キャンピングカーは、あっという間に隊長たちの横を走り去っていた。


現在のキャンピングカーは時速100キロ近いスピードを出しているので、追いすがることもできない。


そして、あっさり引き離されたところに飛んでくるのは銃弾じゅうだんの雨だ。


「いッッ!!?」


「ぐああああああああッ!?」


部下たちが次々と銃弾に吹き飛ばされていく。


隊長たちは、生半可なまはんかなやり方では、キャンピングカーにしがみつくこともできないと気づく。

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