第9話318話:機関銃

そのときだった。



「「「「オオオオオォォォォオォォオオオッ!!!!!」」」



と、ブランジェ平原の向こうから、地鳴じなりのような喊声かんせいがこだました。


この声は……進軍開始しんぐんかいしの声。


ブロストン軍が前進を開始した合図だ。


目視もくしする感じだと、ブロストン兵15000名のうちの3割……5000めい程度が進軍を始めたようである。


「動き始めたようですね」


とアリスティがつぶやく。


私はうなずきながら、言った。


「そうですね。私たちも発進しましょう。アリスティ、揺れますから気をつけて」


「はい」


私は運転ゴーレムにテレパシーを送った。


(運転ゴーレム、発進してください)


次の瞬間。


エンジンがかかり、キャンピングカーが戦場を走行しはじめた。


いよいよ、戦争の開始である。


「……」


私は錬金ゴーレムを2体作成する。


その錬金ゴーレムに、2ちょうずつアサルトライフルを持たせた。


アリスティとあわせると、これで5挺だ。


5挺ものアサルトライフルで一斉射撃いっせいしゃげきすれば、かなりの殲滅力せんめつりょくになることは期待できる。


ただ。


私は今回、とっておきの兵器を用意している。


それは……


「……私はこれを使います」


屋上に設置された兵器――――機関銃きかんじゅう


魔力を込めて高威力こういりょくの銃撃を可能にした【魔法機関銃まほうきかんじゅう】である。


キャンピングカーの屋上を改造して、このように設置型せっちがたの機関銃を置いたのだ。


この魔法機関銃は、固定台こていだいに設置しているので、アサルトライフルのように携帯して使用することはできない。


しかし1分間になんと1500発も連射することができる。


連射速度れんしゃそくどだけでなく、威力や射程距離もアサルトライフルより高い。


対軍たいぐんを想定した武器であり、領軍戦争で勝つためにこしらえたものだ。


ちなみに弾は10万発まんぱつを用意してある。


すべて魔力を込めた魔弾まだんである。


それらをすべて消費しつくすころには、戦争が終わっているだろう。


……と。


そのとき。


「な、なんだ!?」


「魔物!?」


「いや、違う! 馬車だ! 新型の馬車だ!」


とブロストンの兵士たちが口々くちぐちに叫ぶ。


キャンピングカーがブロストン軍のすぐ目の前まで来ていた。


キャンピングカーは止まらず、そのまま加速する。


「うあ、うああああああああ!?」


「突っ込んでくるぞ!」


「避けろおおおおッ!」


進軍していたブロストン兵たちは、慌ててキャンピングカーの軌道からのがれるように、道を開けた。


キャンピングカーがブロストン軍たちの、どなかを走っていく。


私は告げた。


「では、作戦を開始いたしましょう」


「はい! お嬢様」


とアリスティが返事をした。


私は機関銃にスタンバイする。


アリスティもアサルトライフルを持って、屋上の端に立つ。


錬金ゴーレムも、左右にわかれてアサルトライフルを構える。


そして。


私たちは、銃撃を開始した。






―――――――――――――――――

おしらせ:

アリスティの過去編が完結いたしました!

アリスティの生誕から20歳ごろまでをえがいた全80話の物語です!


まだお読みでない方は、この機会に、一度読んでみてください!

 ↓

【フレアローズの花】

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