第9章:ブランジェ平原の戦い

第9章317話:エリーヌの戦闘準備

―――第9章―――



<エリーヌ視点>


本陣に戻ってきた私たち。


私はふいに立ち止まり、周囲を見渡した。


「……」


ぐるりと視界を旋回せんかいさせる。


私が探すのは―――セラス。


セラスの残党たちの姿がないか、確認していた。


「エリーヌ? 誰か探しているの?」


とローラが尋ねてきた。


私は答える。


「はい。リシアさんの姿が見当たらないな、と思いまして」


「ああ……エリーヌたちに、リシアが接触してきたんだっけ?」


とローラが言った。


先日、私がリシアと接触したことを、ローラには伝えてある。


セラスの残党が戦争に参加してくるだろうことも。


私は告げる。


「リシアの様子からして、ブランジェ側の味方になることはないと思います。とはいえ、姉上を攻撃してくる可能性は低いですが」


リシアが狙うのは、フレッドのかたきである私の命だ。


「……まあ、私を殺すために、姉上を人質ひとじちとして確保しにくる可能性はありますが」


「あら、それは怖いわね」


とローラが肩をすくめた。


ローラが告げる。


「せいぜい人質に取られないように、頑張ることにするわ」


「はい。気をつけてください、姉上」


「あなたもね」


ローラが微笑む。


言いあってから、私は告げた。


「それでは、そろそろ開戦ですね。キャンピングカーを出します」


ローラがうなずく。


私はアイテムバッグからキャンピングカーを取り出した。


周囲の兵士たちが、見慣れない物体が現れたことにどよめく。


ローラも驚いていた。


「これが……キャンピングカー。あなたが、これを作ったのよね?」


「はい。私の錬金魔法で創りました」


「新型の馬車と聞いたけど……こんな大きな馬車が、本当に走るの?」


「……まあ、見ててください」


と答えてから、アリスティをまず乗車じょうしゃさせた。


私はローラに向かって告げる。


「では、姉上。作戦通さくせんどおりにお願いします」


「ええ。わかったわ」


かくして私は、キャンピングカーへと乗車するのだった。







乗車してすぐに、服を着替える。


動きやすいスポーツウェアだ。


具体的には、


白のランニングシャツ、


青のランパン、


足は黒タイツ、


小柄なブーツ、


……という服装である。


さて。


着替えが終わったら、キャンピングカー天井てんじょうへのラダーを設置。


ラダーをのぼり、ハッチをあけて屋上へ。


アリスティと一緒に、屋上のうえに立つ。


屋上のうえから戦場を眺める。


背後には、こちらを見上げるローラや兵士の姿がある。


私は口を開いた。


「アリスティ。とりあえずアサルトライフルを渡しておきます。使い方はわかりますね?」


「大丈夫です」


アリスティは返事をする。


私はアイテムバッグからアサルトライフルを一挺いっちょう、アリスティに手渡した。








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