第8章308話:門

<エリーヌ視点>


ランヴェル帝国の国境を通るとき。


私は、衛兵から、私の国外追放が解けたことを聞いた。


またディリスが処刑されて死んだことも確認できた。


さらにブランジェ領に入って……


軽く聞き込みをしたところ。


近々ちかづか、ブランジェ領で領軍戦争がおこなわれるということも、確認できた。


つまり。


(リシアさんが述べた情報は、全部本当だったということだね)


リシアの発言にウソはない。


彼女の情報は、真実だ。







私はキャンピングカーに乗って、走り続け……


やがてブランジェ家の屋敷にたどりつく。


キャンピングカーをアイテムバッグに収納したのち、屋敷の門へと向かった。


二人の門衛もんえいがいる。


向かって右の門衛は、顔見知りだ。


向かって左の門衛は、初対面である。


私とアリスティの姿を見た右の門衛が、目を見開いた。


しかし彼が何かを口にする前に、もう片方の門衛が言ってきた。


「どちら様でしょう? メイドをお連れということは、貴族の方でしょうか? アポイント等はございますか?」


「門を通してください。ここは私の実家ですから」


「はい?」


左の門衛が首をかしげる。


右の門衛が、慌てて叫んだ。


馬鹿者ばかものが! この方は、エリーヌ様だぞ!」


「え、エリーヌ様……?」


「お顔を知らないのか? まあお前が雇われたときには、既にエリーヌ様は屋敷をあとにしておられたからな……エリーヌ様は、エリーヌ・ブランジェ様のことだ」


「エリーヌ・ブランジェ……あ!」


と左の門衛が、気づいたような声をあげた。


「ま、まさか、ローラ様の妹君いもうとぎみであられる、あの!?」


「ああ、そうだ。エリーヌ様、申し訳ありません。この者は、エリーヌ様のお顔を存じておらず、失礼な態度を取りました」


と右の門衛が謝罪する。


左の門衛も頭を下げた。


「も、申し訳ありません!!」


私は苦笑する。


(そういえば、私は一応、貴族にかえいたことになるのかな)


と気づく。


ローラが現在の当主とうしゅなのだとすれば、私は、領主の妹ということになる。


貴族令嬢きぞくれいじょうよりも出世しゅっせした形だ。


私は言った。


「構いません。そんなことより、姉上と面会したいのですが」


「はっ! 失礼いたしました、どうぞ、中へ!」


と右の門衛が、門をあける。


私はアリスティとともに、屋敷の中に入る。

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