第8章300話:威圧の検証

翌日。


昼。


昼食を食べたあと、私はアリスティと2人で、キャンピングカーの外に出ていた。


私は雪を踏みしめながら言った。


「威圧の指輪について、いろいろ検証してみましょう」


「検証、ですか」


「はい。威圧が、どれぐらいの範囲なら通用するのか? 背後にいる相手も威圧できるのか? ……等々、試してみたいことはいろいろありますから」


「……なるほど」


「あと……」


私は一拍置いてから、告げた。


「自分も食らってみたいです。威圧を受けた者がどうなるか、試してみたいんですよね」


するとアリスティが首をかしげて、聞いてきた。


「お嬢様は、精神攻撃無効の石を所持していますから、威圧が効かないのではないですか?」


「そうでしょうね。だから石はアイテムバッグから除去した状態で、食らってみます」


「……そこまでする理由があるのですか?」


「まあ、単純な好奇心というか……趣味ですね」


そう答えた。


異世界に転生し、実家を追放されてからそろそろ8ヶ月。


キャンピングカーでの生活にも慣れてきた私は、もっといろんな体験をしてみたいと思うようになってきた。


未知の刺激を味わってみたい。


飽くなき好奇心を満たしたい。


そういう思いが、胸の内に渦巻いている。


『威圧されると、どうなるのか?』というのも、大きな興味の対象だ。


そんな私の心境を知ってか知らずか、アリスティは若干呆れたような顔を浮かべたあと、苦笑した。


「わかりました。では10秒間だけ、お嬢様に向けて威圧を放ってみます」


「はい。お願いします」


アリスティが指輪をセットする。


私がアリスティの正面、5メートルぐらい離れた位置に立つ。


アイテムバッグから【精神攻撃無効の石】を取り出して、10メートルぐらい離れた位置に捨て置く。


これで私は精神攻撃系の魔法に対して、無防備な状態になった。


アリスティが、魔力を指輪に注入する。


威圧が放たれた。










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