第8章291話:雪の国へ

<エリーヌ視点>


キャンピングカーを走らせる。


クナス森林国を出国する。


そして目的地である【シュトラール雪国せつこく】へとたどりついた。


ここは名前の通り、雪国ゆきぐにだ。


国境の関所を抜けてから、キャンピングカーを走らせ続ける。


車内の窓から眺められる雪原せつげん


淡い水色の空からしんしんと降り続ける雪。


大地を白く染め上げる積雪せきせつ


雪原には岩やが点在しているが、それらにも雪がどっしりと降り積もっていた。


「ほんとうに、一面が雪景色ゆきげしきですね」


とニナが感嘆したようにつぶやいた。


アリスティが言う。


「シュトラール雪国は、常冬とこふゆですから、どの季節でも雪が降っているようですね」


私がつぶやく。


「ただでさえ寒気かんきに包まれた国ですが、今は冬の初めですから、なおさら気温が下がっているようですね。暖房があってよかったです」


すでに車内は、暖房をオンにしている。


おかげで寒さをほとんど感じない。


錬金魔法さまさまである。







シュトラール雪国を進んでいく。


いくつかの領地を抜けて、コーテンりょうにたどりついた。


ミフォルトさんが教えてくれた【カルッザ大雪山だいせつざん】がここにある。


シュトラールの国民に道を尋ねながら、キャンピングカーを走らせる。


そして、2日後。


目的地のすぐ手前までたどり着く。


そこは……干潟ひがた


凍った水溜みずたまりがあちこちに点在する、極寒ごっかん干潟ひがただった。


「……!」


突如、ゴーレムが警報器けいほうきを鳴らしてくる。


私は言った。


「どうやら魔物が現れたようですね」


アリスティに任せても良かったが、外の空気を吸いたかったので、自分で狩ることにする。


私は、キャンピングカー天井てんじょうのハッチを開けて、屋上へと上がった。


外に出るときは生身では凍えるので、防御結界によって寒気を無効化するようにしておく。


周囲を眺める。


ゴーレムが発見した魔物とは……干潟を這う、一本角いっぽんづのの魔物であった。


イッカクの魔物である。


とりあえずアイテムバッグから取り出したアサルライフルで撃ち殺す。


イッカク魔はそこまで強くないようで、一撃で射殺することができた。


「ふう……」


息を吐く。


白い吐息が、空気に溶けていく。


ふと、キャンピングカーの屋上に立ったまま、周囲の景色を眺めた。


銀色の空。


黒ずんだ土の広がる干潟。


こおりづいた水溜みずたまりは、鏡のごとき白銀はくぎんの色を映している。


まるで世界の最果さいはてにやってきたかのような……


美しさと寂寥感せきりょうかんを覚える景色。


極限の大地。


私は、その厳しくも美しい大自然の風景に、しばし見惚れた。


「さて、戻りましょうか」


私は車内に戻ろうとする。


おっと、その前に。


イッカク魔の死骸を回収しておかないとね。

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