第6章274話:その後
「これで一件落着ですね」
と私は、告げた。
ヒニカさんが言ってくる。
「ああ。ビルギンスを制圧してくれたこと、まことに感謝する」
「いえいえ」
「あとは我々に任せてくれ。ビルギンスを連行し、適切な裁きを受けさせる」
さらにヒニカさんは続けて言った。
「今回の件に関して、エリーヌ殿、ミフォルト殿の両名には何かしらの褒賞を出したいと思う。後日、私のもとへ来てくれるだろうか?」
その言葉に対して、ミフォルトさんが尋ねる。
「お前のもとって……何処だ?」
「役所だ」
「いつ行けばいい?」
「3日後……いや、5日後になるかもしれない。この屋敷の家宅捜索もおこないたいので、時間がかかりそうだからな」
家宅捜索、やるんだ……
まあビルギンスが死罪になるとはいえ、彼がおこなってきた罪は全て洗い出す必要があるものね。
この機会に、ビルギンスの悪業に手をかしてきた関係者たちも、まとめて潰して、膿を出し切ってしまうといいと思う。
かくして。
ビルギンスをめぐる騒動は、終幕した。
ビルギンスは無事、連行された。
また屋敷については、役人たちによって徹底的に調査されることになった。
ビルギンス邸の地下にて魔王召喚の儀式がおこなわれていたことは、すぐに領都に広まった。
ちなみに。
用事が済んだ私は、バネオンさんとルーシーさんを解放した。
別れるときにバネオンさんは、
「なんだかんだ、結構楽しかったっす」
と笑っていた。
一方、ルーシーさんは、
「もう二度とごめんです。これからは真面目に生きます……」
と、疲れた様子だった。
まあビルギンスという巨悪がいなくなったのだから、今後は、悪事を働くことはなく頑張ってもらいたいと思う。
で。
私がでっちあげた、もう一つのウソ……
『私のアイテムバッグを奪っていったビルギンスの手下がいる』
ということについてだが、
その手下たちは、もちろん実在しない。
だからヒニカさんや役所の人間が、いくら調査したって、そんな手下など発見されないし、私のアイテムバッグも見つからない。
結果。
ヒニカさんたちは『その手下たちは、とっととビルギンス邸を逃げてしまい、雲隠れしたのだろう』と結論づけたようだ。
2日後の夕方。
ヒニカさんが私の泊まる宿にやってきて、以下のように質問してきた。
「ビルギンスの手下について、今後も調査することもできるが……どうする?」
「いえ。調査は必要ありません」
と、もちろんそう答えた。
かくして『エリーヌのアイテムバッグを奪っていったビルギンスの手下』に関する調査は、おこなわれないことになったのであった。
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