第6章273話:結末

ビルギンスが狂ったように高笑いをした。


「くは、くははははは!! できた、召喚陣を起動できたぞ!」


「……」


「確かにミフォルトの言う通り、魔王召喚の理論は間違っているかもしれない! だが! それでも召喚が不可能なわけではない! 魔王が召喚できなくても、強い魔物は召喚できる!!」


強い魔物って……


間違った理論で召喚した魔物が、使い物になるのか?


ただ、一応警戒しておいたほうがいいか。


私はアイテムバッグから武器を取り出そうとする。


ビルギンスが高らかに告げる。


「これで、形勢は互角に戻せるぞ。さあでよ! 私の忠実な――――――え?」


しかし、ビルギンスは途中で言葉を切った。


急に召喚陣が、光を失ったからだ。


失敗した?


いや、今のは……


「な、なぜ、召喚陣が、光を失って……!?」


ビルギンスが困惑している。


ミフォルトさんが言った。


「悪いが、召喚陣は強制停止させてもらった」


その言葉にビルギンスが驚愕する。


「なんだと!? 馬鹿な、そんなこと、できるはずが」


「普通の召喚士サモナーなら難しいかもな。だが僕は【召喚王】だぞ? 一度起動された召喚陣を止めることなど、造作もない」


どうやら、ミフォルトさんが召喚陣を停止させたようである。


さすが召喚王。


目論見もくろみを潰されたビルギンスがわなわなと震えだす。


「くそっ!!?」


ビルギンスが再度、召喚陣に魔力を注入する。


しかし今度は光らない。


ミフォルトさんが告げる。


「悪いが、僕がいる前で召喚陣の再起動は無理だ」


「~~~~~~っ!!!」


冷や汗と、焦りで、ビルギンスの顔が青ざめる。


もはや打つ手がないと悟ったか、ビルギンスは。


「っ!!」


逃走せんと、入り口に向かって走り出す。


途中ビルギンスは私の横を走りぬけようとした。


私は、ビルギンスの進路を妨害するように、彼の前に立ちはだかった。


退けぇえええええ!!」


ビルギンスが叫びながら、殴りかかってくる。


めちゃくちゃな拳の振りだ。


回避するのはワケもない。


私はビルギンスの拳を難なく避けると。


カウンターとばかりに、腹に拳を叩き込んだ。


「がはっ!!?」


ビルギンスが、腹をおさえてその場にうずくまる。


ちょうど顔面が蹴りやすい位置にあった。


なので私は、ビルギンスのこめかみに蹴りを叩き込んだ。


「かっ!?」


ビルギンスが転がって、昏倒した。


ぴくりとも動かなくなる。


気絶したようだ。





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