第6章269話:地下

やがて屋敷の通路の突き当たりまでやってくる。


「こちらが地下への入り口でございます」


執事が言った。


そこには一つの扉があった。


執事が扉を開ける。


すると、地下への階段が現れた。


ヒニカさんが言う。


「さっそく下りよう」


すると、ミフォルトさんが言った。


「この高さだと、オーガが通れないな」


ギガントオーガは250cmぐらいの身長があるし、横幅もデカイ。


一方、地下はどうやら天井の高さが低いらしい。


このまま下りるには適さないだろう。


「別の魔物に変えるか」


と、ミフォルトさんがつぶやく。


彼は腕を横に伸ばし、手のひらを下に向けた。


すると。


そこに召喚陣があらわれて、魔物が現れる。


現れたのは、さながら草のオバケともいうべきモンスターだった。


中心がツボミ。


そのツボミの周りには葉があり、ツルがうねっている。


「こいつは【ボックルナツハ】という草の魔物だ。このツルで、ビルギンスを縛り上げよう」


と、ミフォルトは言ってから、ギガントオーガを消した。


ギガントオーガからの拘束を解かれたビルギンスは、チャンスとばかりに走り出す。


それを追いかけるように草の魔物――――【ボックルナツハ】のツルが、素早く動いた。


「がっ!!?」


あっという間に、ツルがビルギンスを捕まえる。


くるくると巻き付いて、ビルギンスを縛り上げた。


「これでいっちょあがりだ」


と、ミフォルトは微笑んだ。


ヒニカさんが言う。


「便利だな」


「いろんな魔物が使えるんですねえ……」


と、ニナも感心したようにつぶやいていた。


「え、ええと」


と、執事は言った。


「あ、案内はここまででよろしいでしょうか?」


私は答える。


「はい。もういいですよ」


「あ、ありがとうございます!」


と、ホッとしたように執事は言ってから、逃げるように去っていった。







さて。


私たちは地下に下りる。


暗いので、ヒニカさんがランタンに灯りをつけた。


地下通路といくつかの扉があった。


人の気配はない。


物置部屋が続いているばかりだ。


広くはない地下だ。


あっという間に行き止まりとなる。


「何もありませんね」


と、アリスティがつぶやいた。


ヒニカさんが言った。


「魔王召喚の儀式というのは、誤情報だったのか?」


うーん。


どうだろう?


ビルギンスは明らかに、地下に何かを隠しているふうだった。


何もないことはないはずだ。





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お知らせ:

新作を投稿しました! 女主人公のスローライフ・ファンタジーです。

本作とあわせて、是非お読みいただけると幸いです!


【異世界に転生すると、私のチートスキルは『チョコレート魔法』でした!】

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