第6章221話:戦闘準備

屋上まで登ってきたクルルさんは、尋ねてきた。


「何かあったのですか? キャンピングカーもお停めになったようですけど」


「状況確認のために停車したのですが……あちらの方角に気になるものを発見しまして」


「あちら、ですか? 何もありませんが……」


クルルさんが首をかしげる。


私は双眼鏡を差し出した。


「この道具を、あちらの方角を見ながらのぞいてみてください」


「は、はぁ……」


クルルさんが双眼鏡を受け取った。


言われた通り、私の示唆した方角を、双眼鏡で見やる。


すると、クルルさんは声をあげた。


「ああ!? サンドウルフキングが目の前に!!? ……あれ?」


双眼鏡から目を離したクルルさんがきょとんとする。


もう一度クルルさんが、双眼鏡をのぞく。


「え? 目の前にいる……あれ? いない?」


「実は、その道具は、双眼鏡と言いまして、遠くの景色を見ることができる道具なんです」


「ええ!? そうなんですか?」


クルルさんは目を見開いていた。


私は尋ねた。


「……で、双眼鏡で見える魔物は、サンドウルフキングなんですね?」


「えっと……はい。間違いありません。あれはサンドウルフキングです」


確認は取れた。


私は双眼鏡を返してもらい、アイテムバッグに収納する。


「では、討伐しましょうか」


と、私は宣言する。


クルルさんが尋ねてきた。


「倒せるの、ですか?」


「もちろんです」


はっきりと断言する。


クルルさんが目を見開く。


まあ、あんな化け物を倒すなんて、簡単には信じられないかもしれないね。


でも私は、難しいことをやるつもりはない。


アンチマテリアルライフルで狙撃するだけだ。


たぶん、それだけで勝てると思う。


もし、狙撃での討伐に失敗したら、アリスティと連携して倒そう。


音響兵器・スパーク爆弾などで援護もできるしね。


「アリスティを呼んでおかないといけませんね」


私はリビングにいるアリスティに声をかける。


アリスティが、屋上へと上がってくる。


ついでにヴァルリーさんにも上がってきてもらうことにした。


これで全員が、屋上に来た形だ。


私はアリスティに事情を説明する。


「……というわけで、私が討ちもらしたら、アリスティがよろしくお願いします」


「かしこまりました」


準備は固まった。


いざ、攻撃開始だ。

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