第6章222話:狙撃

アイテムバッグからアンチマリアルライフルを取り出す。


【射撃補正の指輪】を装着。


サンドウルフキングがいた方向に向けて……


アンチマテリアルライフルを構えた。


屋上にうつぶせになって構える、伏せ撃ちの姿勢である。


私は、スコープをのぞく。


(うん、見える)


スコープにサンドウルフキングが映った。


サンドウルフキングとの距離は、極めて遠距離ではあるが、狙撃は可能だ。


アンチマテリアルライフルは、1500メートル以上の射撃を可能にしているからだ。


「……」


照準を定める。


狙うは……頭部。


いや。


頭部だと、しとめ損なったときに厄介だ。


(足を狙おう……)


足を破壊してしまえば、サンドウルフキングは逃げることができなくなる。


逆に、こちらに近づいてこようとしても、距離がかなり離れているので、負傷した足で接近されることはないし……


万一、近くまで迫られても、キャンピングカーで逃げながらヒットアンドアウェイを狙えばいいだろう。


うん……グッドな作戦だ。


これでいこう。


「ふう……」


方針が決まったので、深呼吸を一つ。


狙いを、サンドウルフキングの前脚まえあしに定める。


静寂。


私は、引き金を引いた。


次の瞬間。


マズルフラッシュの炸裂とともに、風切る弾丸が射出しゃしゅつされる。


使った弾は、もちろん魔弾まだん


超エネルギーの弾丸が剛風ごうふうを起こしながら、サンドウルフキングへと直進していく。


1秒以上かけて弾丸は宙を飛び続ける。


サンドウルフキングは射撃音にすら気づかない。


なぜなら、マッハ2の弾丸なので、音すらも置き去りにしているからだ。


音速より速く進む銃弾の音が、相手に聞かれるのは、撃たれた後からである。


「よし!」


1秒後、弾丸はサンドウルフキングの前脚に、狂いなく着弾した。


さすが【射撃補正の指輪】だ。


こんな超長距離ちょうちょうきょりからでも、角度、風向き、距離などを完璧に計算し、狙撃を成功へと導いてくれる。


サンドウルフキングは、あまりに突然のことに、飛び上がった。


しかし、破壊された前脚のせいでバランスを崩し、うまく立ち上がれない。


私は、さらなる追撃を加えようとする。

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