第6章219話:他者視点
<クルル・ヴァルリー視点>
「すごい……」
リビングのテーブルに着いたクルルとヴァルリー。
二人は、
現在、このキャンピングカーはサンドウルフの縄張りに突入している。
ゆえに、サンドウルフがあちこちから追いかけてきている。
すぐに群れをなし、増える。
それがサンドウルフの恐ろしいところだ。
しかし――――
エリーヌたちは、ソレをものともしていない。
高火力の遠距離武器を用いて、楽々と蹴散らしている。
屋上からは、その遠距離武器がズダダダダダダッと激しい音を鳴らしているのが聞こえてくる。
ヴァルリーは言った。
「昨日使ってた武器だな。威力も飛距離も尋常じゃない。弓なんかよりも遥かに強い」
弓ぐらいの威力と速度だと、サンドウルフを一撃で仕留めるのは難しい。
大きな
そもそも弓は、素早く動いている的を狙うのに適さないのだ。
だが――――
いま、エリーヌたちが使っている謎の武器は、そういった弓の弱点を克服しているように思う。
威力も射程距離もハンパじゃない。
まあ、動く標的に当てるのが難しいのは弓と同じだろうが……
弓よりも遥かに連射速度が速いので、数を撃つことで、高い殲滅力を維持しているのだろう。
クルルは思う。
(それに、この新型馬車―――キャンピングカーの突破力も凄まじいですね)
ただの馬車ならば、あっという間に追いつかれ、サンドウルフに馬が食い殺されてしまうだろう。
しかし、このキャンピングカーは速いのでサンドウルフが追いつけないし……
運転はゴーレムがおこなっているので、馬を狙われることもない。
(エリーヌ様は、このキャンピングカーを自作したと言っておられましたね)
クルルは、キャンピングカーや、それに類する車を、一度も見たことがない。
それは、砂漠国以外の国を知らないからではない。
集落の民は、ルフシャ砂漠国の外に出たことは無い者がほとんどだが、クルルは例外だ。
クルルは、何度か、国外に出たことがある。
だから、外の世界をある程度は知っているのだ。
だが……
ルフシャ砂漠国の外においても、このような技術が存在しているということはなかった。
貴族でさえ、馬を使った馬車に乗っていたし、遠距離武器も、弓や魔法杖が主流だったはずだ。
(いったい、彼女は何者なのでしょうか?)
クルルは、そう思う。
彼女は、まさかエリーヌが日本からやってきた異世界人であるなどとは、想像さえできないのであった。
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