第6章218話:サンドウルフと銃撃

砂漠のど真ん中。


サンドウルフの領域を、キャンピングカーで走る。


そこかしこにサンドウルフの姿がある。


サンドウルフは、キャンピングカーの存在に気づくと、脇目も振らず追いかけてくる。


そんなサンドウルフたちを、私とニナで銃撃する。


「私は正面と右の方角を担当します。ニナは、左と後方を担当してください」


「わかりました!」


キャンピングカーの屋上に立って、アサルトライフルを構える。


撃つ。


撃つ。


撃つ。


銃撃音が炸裂する。


ときどき、ロードとおぼしき上位個体がいる。


ロードは群れの統率をおこなっている存在なので、優先的に狙撃し、殺す。


撃つ。


撃つ。


撃つ。


ときどき、ニナのほうを振り返る。


はじめての射撃、しかも、いきなりの実戦……


ニナは無駄撃ちすることなく、丁寧に射撃している。


「ニナ。群れがいたときは、弾幕を張ってください」


「弾幕、ですか?」


「丁寧に撃つのではなく、たくさん撃ちまくるということです。群れがいるところへ大量の弾を撃ちこめば、テキトーに撃っても当たりますから」


「なるほど」


「弾は無限ではないし、製造にお金もかかるので、無駄に消費はできません。しかし、こう敵の数が多い場合は、まず数を減らすことを優先したほうがいいですからね」


サンドウルフは、殺しそこねると、あっという間に群れてくる。


すぐに10匹、20匹となるので、素早く殲滅していかないと危険だ。


たとえば敵が増えすぎて、50匹以上に囲まれたりしたら、対処不能になりかねない。


「……ふう」


ニナへの指示を済ませた私は、ひとつ深呼吸をする。


そして、ふたたび射撃を再開する。


「……」


体温が、身体の内側から上がってくるのを私は感じていた。


それは身をたかぶらせる戦場の熱。


敵が次から次へとやってきて、


私は次から次へと殲滅する。


これぐらい緊張感のある戦場では、血が湧きたつのを覚えるというものだ。


肌の下をめぐる血流が、じんと火照っているのが自覚できる。


汗をぬぐう。


……弾が減ってきたのでリロード。


銃撃を再開する。


「おっと」


ドンッ、と。


殺し損ねたサンドウルフが、キャンピングカーに接近し、体当たりをしてきた。


だが、キャンピングカーのボディは魔力で強化してある。


多少の体当たりでは揺らぎもしない。


サンドウルフの身体は弾き返されて、転がった。


そこに私が銃弾を浴びせる。


サンドウルフは銃撃に飲まれて死んだ。


そのとき。


(……ん? あそこにオアシスがありますね)


私はふいに、オアシスの存在に気づいた。


よくよく周囲を見渡してみれば、他にも2、3のオアシスが点在しているのがわかる。


(なるほど。集落のみなさんは、元々こういうオアシス地帯の近くに住んでいたんでしょうね)


しかし、この地はサンドウルフキングの支配下になった。


現在も、変わっていない。


(さっさとキングをぶっ殺して、住みかを返してあげたいですね)


私はそう思った。

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