第6章217話:銃

「今回、ニナを屋上へと呼んだのは、ニナに、銃の撃ち方を教えようと思ったからです」


「銃、ですか?」


「はい。ニナにはここで、サンドウルフをはじめとした砂漠の魔物を銃撃してもらいます」


サンドウルフキングの支配する領域。


おそらく、大量のサンドウルフが待ち構えていることだろう。


そんなサンドウルフたちに出くわすたび、いちいちキャンピングカーを下りて交戦するなど、面倒だ。


立ちはだかるサンドウルフも。


追いかけてくるサンドウルフも。


全て、屋上にいる私たちが、撃ち殺して処理する。


ついでに、ニナに銃の実践経験を積ませるのが、私の目的だ。


「これ、どうぞ」


私は、アサルトライフルを一つ、ニナに渡す。


「あ……アサルトライフル、ですか」


「はい。予備に作ったものです。私のと性能は一緒なので、今回はソレを使ってください」


「わかりました!」


「では、使い方を説明しますね」


私はニナに、アサルトライフルの扱い方を解説しはじめた。


構え方。


撃ち方。


リロードの方法。


……などなど。


あらかた教えたあと、最後に告げる。


「一番大事なことは、銃口を人に向けないことです。うっかり誤射して、相手を射殺してしまう危険がありますからね。なお、相手が賊だったりした場合、この限りではありませんが」


「はい! 気をつけます!」


「よろしい。……おっと、ちょうどいいタイミングですね」


私は前方の景色を見つめる。


サンドウルフたちの姿がちらほら現れ始めた。


いよいよ縄張りに侵入したようだ。


「では、実際に撃ってみてください。ぶっつけ本番ですが、こういうのは慣れですから」


「はい!」


ニナがキャンピングカーの屋上に立って、アサルトライフルを構える。


なかなかサマになっていた。


そして。


発砲。


ズダダダダダダダダッ!!


と、射撃音が炸裂する。


サンドウルフ4体ほどの群れのうち、2体に命中したようだ。


いきなりの射撃にしては上出来だろう。


「お見事です」


私はそう告げた。


ニナは、ぽつりと言った。


「す、すごいですね……私でも、こんな簡単に魔物を倒せるなんて」


自分の手で魔物を蹴散らした成果に、ニナは驚いているようだった。

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