第6章:諸国漫遊編―ルフシャ砂漠国―

第6章206話:砂漠

第6章 諸国漫遊編―ルフシャ砂漠国―




国境を抜ける。


たどり着くのは、砂漠の国。


ルフシャ砂漠国さばくこくだ。


「ルフシャ砂漠国……」


キャンピングカーのリビング。


テーブルに座った私が、ぽつりとつぶやく。


アリスティが説明した。


「ルフシャ砂漠国は、観光書によると、推定人口5万人の国だそうです」


私は言う。


「人口5万人ですか……ちょっとした大都市にも、それぐらいの人口がいますよね」


アリスティはうなずく。


「はい。ですから、かなりの小国だといえるでしょう」


ニナが尋ねた。


「砂漠国……というぐらいですから、砂漠が多い国なんですよね?」


アリスティは答える。


「多いというより、国土のほとんどが砂漠のようですね」


「へえ、そうなんですね」


ニナが相槌を打った。


私は、告げた。


「キャンピングカーのタイヤには、既に砂漠を走行できる対策はしてあります。なので、問題なく走り抜けられると思います」


「さすがお嬢様です」


アリスティがそう賞賛した。






キャンピングカーを走らせる。


国境を抜けてすぐは、平原だった。


しかし、ほんの10分も走れば、そこからは砂漠が始まった。


見渡す限りの砂、砂、砂。


平坦な砂地。


砂の坂道。


砂丘。


そして。


「暑いですね」


私はぽつりと述べる。


季節は秋。


だが、気温が真夏ばりに暑い。


その暑さが、キャンピングカーの中にまで伝わってくる。


服の下が汗ばんできた。


車内がこんもりした温度に包まれてきているのを感じる。


「クーラーをつけましょうか」


と、私が言った。


アリスティが椅子から腰を浮かせかけたが、


「任せてください!」


と、ニナが言って、クーラーのボタンを押した。


ニナは率先して雑用を引き受けている。


私は感心する。


「ありがとうございます、ニナ」


「いえ。えへへ」


ニナが座る。

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