第5章177話:テスト
私は付け加えた。
「あと、雑用は率先してやっていただきます。アリスティと分担しながら、おこなってください」
「はい!」
これで話すべきことは話し終えた。
私は一拍置いてから、言った。
「では、これよりニナに、いくつかテストを行います」
「テストですか?」
「実力を測るテストですね。数学が得意ということなので、どの程度できるか確かめたいです。あと、錬金魔法の実力も」
「は、はい!」
「筆記テストは、車に乗りながらやると酔うかもしれませんので、酔い止めの薬を差し上げます。飲んでください」
「ありがとうございます!」
キャンピングカーの揺れは、改良によって、自動車よりも少なくなっている。
それでも、絶対に酔わないという保証はない。
酔い止めの薬を飲んでおくに越したことはない。
ニナが薬を飲んだことを確認したのち、私はテストを開始した。
数時間後。
ニナのテストが終了し、採点も終えた。
錬金魔法の実力も、だいたい確認することができた。
結果は……。
(数学は確かに、優秀だね)
あくまで、この世界の平均水準に比べると……ではあるが。
ダルネア公爵が目にかけるだけあって、理系の素養はあるようだ。
難易度の高い問題も、良い着眼点をもって回答している。
一方、錬金魔法のほうは――――
ばっさり言ってしまうと、凡人以下。
アイテム錬成で作れるのは7種類程度。
しかも品質は微妙で、製作時間も遅い。
そりゃ一般錬金試験には受からないだろう……と思える結果だった。
まあ、面と向かって酷評する気はないけどね。
私は褒めて伸ばすタイプなのだ。
と、思っていると。
「あ、あの……なんというか、ダメダメで、すみません……」
微妙な結果だという自覚があるようで、ニナがみずからそう述べてきた。
私は言った。
「大丈夫です。ニナには科学を理解するにあたって重要な素養がありますから」
「ほ、ほんとですか?」
「ええ」
理系の素養がある。
ならば科学を理解・吸収するうちに、錬金魔法も向上していくはずだ。
「なので、少しずつ上達していきましょう」
「はい! 頑張ります!」
ニナがポジティブに返事をした。
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