第5章:諸国漫遊編―ダリューン王国―

第5章175話:旅の目的地、目標


第5章:諸国漫遊編




王都を出発する。


運転ゴーレムには、北東の進路へと進むように命じてある。


キャンピングカーが街路を走行する。


私、アリスティ、ニナが、リビングのテーブルに着いている。


しばし、私は、王都を発った余韻に浸っていた。


その余韻が覚めてきてから、昼食を食べる。


昼食が終わったあと、ニナが口を開いた。


「あの……質問があるのですが」


「はい、なんでしょう?」


私がそう答えると、ニナが尋ねてきた。


「このキャンピングカーは、どちらに向かっておられるのでしょうか?」


「ああ。そういえば行き先について、話していませんでしたね」


私は、こほんと一つ咳払いをする。


そして、行き先を告げることにした。


「北東の国々に向かいます」


「北東……ですか」


ニナがいまいちピンとこない表情をする。


アリスティが言った。


「確か地図があったはずです……こちらですね」


アイテムバッグから、地図を取り出し、テーブルに置いたアリスティ。


私は地図のうえを指で示唆した。


「リズニス王国の北東には、このように、中小国家群がたくさん存在しています。現在、この方角へと向かう街路を走っています」


さらに私は、一つの国を指差す。


ダリューン王国、マホ公国などの小国の向こうにある……


北東の国、【ニズヴィーン芸術国】である。


名前の通り、芸術が盛んな国のようだ。


「最初は、このニズヴィーン芸術国という国へ向かうつもりです」


私がそう告げると、ニナは尋ねてきた。


「なるほど……えっと、もう一つ質問なのですが、旅の目的とかはあるのでしょうか?」


旅の目的……か。


そんなものはない。


だけど、せっかくだから、何か目標を設定してもいいかもね。


うーん……。


あ、そうだ!


「旅の目的……考えてなかったのですが、たった今、思いつきました」


「それはなんですか?」


「ニナが教えてくれた【大エルフの聖杖】の必要素材、これを集めることを目標としましょう。あるいは、もう、聖杖を作ってしまうことを目標にしてもいいかもしれません」


そう宣言すると、ニナが驚く。


「アーティファクトの錬成……ですか。それができたら、本当に凄いですね」


「ええ。必要素材を見る限り、絶対に作れないことはないと思うんですよね。いろんな国を巡れば、素材が集まるのではないかと」


私がそう述べる。


アリスティが聞いてくる。


「ちなみに聖杖には、どんな素材が必要なのですか?」


ああ、そういえば、アリスティにはまだ必要素材のリストを見せてなかったか。


私はアイテムバッグから、ニナに貰った紙を取り出した。


「これが、ニナから貰った必要素材のリストです」



◆◆◆


【大エルフの聖杖】の必要素材

・魔宝玉x3

・ハイエルフの法杖x1

・氷竜の魔石x1

・聖泉水x1

・浄化石x1


◆◆◆



魔宝玉は1つ持っている。


シャーロット殿下から、バーベキューのお礼に貰ったものだ。


魔宝玉以外のアイテムは、1つも所持していない。


一番入手が困難なのは【氷竜の魔石】だと思われるが……


他の素材たちも簡単ではないだろう。


入手場所が不明なアイテムもあるしね。

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