第4章158話:試射


キャンピングカーの車内。


私は魔弾の開発をおこなう。


さらに、アンチマテリアルライフルを、魔弾の出力に耐えられるように改良する。


それが終わったら、今度は火縄銃の製作。


火縄銃の魔弾も製作。


「よし……完成した」


理論的には、完璧のはずだ。


もちろん実践テストが必要だ。


ついでに、貫通力の計測も行う。


問題は、どうやって測定するか?


大がかりな実験施設は、もちろんない。


ならば、簡易的な測定道具を作るしかないだろう。


―――アイディアはシンプルだ。


まず厚さ10センチほどのミスリル板を複数生産する。


ここでは50枚ほど生産しておこう。


そのミスリル板を、重ねて並べる。


あとは、銃で、ミスリル板を狙撃して、何枚のミスリル板を貫通できるかを調べるだけだ。


(ミスリルはちょっともったいないですが、まあ、必要な出費と思いましょうか)


調べたいのは……


1:アンチマテリアルライフルの通常弾。


2:アンチマテリアルライフルの魔弾。


3:火縄銃の通常弾。


4:火縄銃の魔弾。


この四つだ。





危険な実験なので、場所を移す。


平坦な草原にやってきた。


ここに台を置いて、ミスリル板を設置していく。


揺れたら嫌なので、台もミスリル板も、しっかり固定した。


また、銃を固定する台も作る。


この固定台に銃を乗せて、発砲する流れだ。


アリスティが感想を述べる。


「ミスリルを計測道具にするなんて、面白い発想ですね。私の打撃の威力も、ミスリルを使えば測れるでしょうか」


「……できなくはないですが、ミスリルだと役不足かもしれませんね」


ミスリル製のパンチングマシンを作っても、簡単に破壊されそうだ。


オリハルコンのような超硬度の素材で作ったマシンなら、ちょうどいいかもしれないが……


そんな伝説の素材は、持っていない。


「さて……始めますか」


私は、アンチマテリアルライフルを固定台に設置する。


沈黙。


アンチマテリアルライフルの引き金に指をかける。


―――発砲。


結果。


貫通したミスリル板は3枚であった。


(通常の弾で撃った場合は、3枚貫通か……)


取れたデータを紙にメモする。


(この調子でサクサクいくよ!)


次に、アンチマテリアルライフルの改良版を設置した。


今度は通常弾ではなく、魔弾を装填する。


そして。


―――発砲。


着弾と同時、ミスリル板が爆発したかのような音がする。


しかも遅れて轟風が吹きぬけていった。


果たして結果は……


貫通したミスリル板は12枚であった。


アリスティが驚いたようにつぶやく。


「これは……凄まじい威力ですね……」


確かに、明らかに弾の迫力が違っていた。


私は述べる。


「こちらのほうが、貫通力は格段に上ですね」


しかもミスリル板のうち、2枚が半壊、3枚が大破していた。


このことから、貫通力だけでなく、弾丸のエネルギー(威力)も相当高いことがうかがえた。


(魔弾と魔法銃の製作は、成功だね)


そう私は結論づける。


あとは流れ作業のように、火縄銃と魔弾のテストも行い……


試射テストはつつがなく終了した。




そして、私はその日のうちに、女王へ、デモンストレーションを行いたい旨を伝えることにした。

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