第4章152話:バンホーン視点


<バンホーン視点>


女王がキャンピングカーから下りてきた。


次は、バンホーンが乗る番となる。


「では、お邪魔させていただく」


そう挨拶してから、靴を脱いで乗り込んだ。


すぐに、バンホーンは、驚愕に固まってしまった。


(なんだ、ここは……!?)


キャンピングカーの車内は、見た事がない空間だった。


既存の馬車とは隔絶していると、一目で理解した。


エリーヌは、キッチン、風呂、トイレと紹介していった。


極めて多機能な馬車であり、非常に驚かされたが……


それ以上に、バンホーンは強く感じることがあった。


(何一つ、わからない……)


バンホーンは、女王とは着眼点が違った。


なぜなら、バンホーンは錬金魔導師だからだ。


常に国益を見据えて行動する女王とは違い、バンホーンは、キャンピングカーの原理や技術を理解しようと努めていた。


だからこそ彼は、いち早く気づいた。


キャンピングカーが、全く理解の及ばぬ技術によって、製造されていることに。


(何がどうなっているのか、一つも理解できない。なんなんだ、この馬車は!?)


バンホーンは宮廷魔導師・錬金魔法部・第六席。


リズニス王国において6番目に錬金魔法が達者な存在として、国から認められている。


本人も、錬金魔法においては第一線の技術者であると自負している。


しかし。


そんなバンホーンをもってしても。


キャンピングカーは、少しも理解できなかった。


使われている技術が、全く推定できなかった。


(これが……ドラル遺跡を解いた天才の技術か)


まさしく。


ああ、まさしくこれは、神より与えられた叡智。


天賦の才。


(ドラルの再来だ……)


錬金魔法の歴史において、極めて重大な功績を残したドラル・サヴローヴェン。


エリーヌは、ドラルと並び立つ、200年に一度の逸材だ。


きっとドラルと同様に、次の時代を切り開いていく存在なのだろうと。


バンホーンは確信するのだった。

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