第4章150話:キャンピングカーへ乗る準備
「今日は勉強させてもらおう。よろしく頼む。アリスティさんも、どうぞよろしく!」
アリスティが答える。
「はい、こちらこそ」
さて、挨拶も程ほどに、歩みを再開する。
女王、
ヒューネ様、
バンホーンさん、
アリスティ、
騎士の護衛が2人、
それから私。
計7人が、ともに歩いて、王城を出る。
馬車で正門まで移動する。
顔パスで正門を通過して、街道へ。
ひと気のあまりない雑木林のそばにやってくる。
私は、さっそくアイテムバッグからキャンピングカーを取り出した。
「おお……これがキャンピングカーか!」
女王が目を輝かせる。
ヒューネ様が興味深げにキャンピングカーを見上げる。
「これが新型の馬車……ですか。なるほど、見たこともない外形ですね」
護衛の騎士たちも、驚いたように目を見開いている。
バンホーンさんが言った。
「これは石で出来ているのか? いや、違うな。見たこともない材質の壁だ。車輪もそうだ、仕組みがわからないぞ。非常に興味深い」
感嘆のため息をつきながら、検分している。
バンホーンさんが私を振り返って、聞いてきた。
「なあ、この馬車……えっと、馬車でいいんだよな?
「ええと……はい。御者台はありません。馬が必要ありませんので」
「なんだって!?」
バンホーンさんが驚愕した。
私は説明する。
「馬なしの馬車なので、正確には馬車ではありませんね。自動車、と私は呼んでいます」
「自動車……」
「御者台の代わりに、運転席がありまして、人間だけで操作して動かすことができます」
その言葉にバンホーンさんが、じっと固まってしまう。
キャンピングカーを見上げ、あごに手を当てて、ぶつぶつと述べる。
「傍目には、相当重量がある乗り物に見える。これを人だけで動かす? リアカーのように人力で押して走るわけでもないだろうに。いったいどのようにして―――――」
「バンホーン。とりあえず乗ってみれば、わかることもあるのではないか?」
女王がたしなめる。
自分の世界に入りそうになっていたバンホーンさん。
我に返って、答える。
「は、はい! そうですな。そうしましょう。俺も、早く中を見てみたいですし!」
女王が言う。
「うむ。では、乗車させていただくぞ」
私は答える。
「はい、いま扉を開けますね」
キャンピングカーのドアを開いた。
そのとき、アリスティが提案してくる。
「お嬢様。さすがに全員を一度に入れるのは、いささか手狭ではないでしょうか」
「ん……ああ、そうかもしれませんね」
ここには計7人いる。
キャンピングカーに乗れないことはないが、窮屈だろう。
ヒューネ様は告げた。
「ならば、護衛を1人つけて、1人ずつ乗っていきましょう。陛下、バンホーンさん、私……の順番でいかがでしょう?」
「構わぬ。それでいこう」
方針が決まったので、まず女王から乗ることになる。
他の者は、外で待機だ。
「ああ、言い忘れていました。土足は厳禁ですので、お手数ですが、お履物はこちらで脱いでいただいてから、横の靴箱に収納していただければと思います」
一同が、了解する。
かくして私は、女王をキャンピングカーへと招き入れた。
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