第4章:リズニスでの生活
第4章133話:女王視点
<女王視点>
シャーロットたちが謁見の間を退室する。
その後、女王ベスティーヌは、秘書ヒューネを連れて、王城の執務室へと移動した。
ヒューネと二人きりで、今しがたシャーロットから行われた報告について、話し合いたかったからだ。
執務室のソファーに座ったベスティーヌは、対面にヒューネを座らせて、言った。
「さて……何から話したものか」
ヒューネは言う。
「とんでもない報告のオンパレードでしたね。正直、めまいがしたほどです」
「同感じゃ。ドラル遺跡の件だけでも頭が痛くなるというのに……」
ドラル遺跡の攻略。
200年、誰も解けなかった遺跡の術式。
それが、ついに解かれてしまった。
そのこと自体は快挙ではある。
問題は、シャーロットが永世巫女になってしまうということ。
今回の功績を以って、シャーロットは堂々と独身の道を選ぶだろう。
まあ、もっとも……
婚約者のルシェスが死んだことで、どのみちしばらくは独身確定なのだが。
「ルシェスの死。それだけでなく、ヴァンブルも死んだとは。政財界が、てんやわんやになるぞ」
政財界の重鎮として、広く根を張り巡らせていたケルフォード親子。
そんな二人がまとめて死去してしまった。
上流社会を揺るがす大騒動になることは間違いない。
ケルフォード家の破滅を機に、躍進する者。
あるいは、没落する者。
あるいは、強者に庇護を求める者。
良家としての生き残りをかけて、さまざまな思惑が奔走し、政治も経済も混迷を極めるだろう。
「イグーニドラシェル様の死も、とてつもない大事件ですよ」
「そうじゃな。それも頭の痛い問題じゃ」
イグーニドラシェル。
リズニス王国の大英雄。
数々の戦争を勝利に導き、誰も倒せない危険な魔物を討伐してきた。
彼女の成してきた功績は計り知れないものがある。
まさしく国の守護神。
なのに……。
そんな英雄が、死んだ。
冗談かと思いたかった。
が、イグーニドラシェルの生首を見せ付けられては、認めるしかない。
いったいどれほどの損失だろう?
誰が、その欠落を埋められるだろう?
二人には、全く見当もつかなかった。
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