第3章123話:次の標的
シャーロット殿下が言う。
「しかし、エリーヌさんには、依頼の報酬、遺跡の術式を解いた勲章など、まだまだ授与しなければならないものが沢山ありますわ」
「……正直、そんなに要らないんですけどね」
今のところ、ダファルダムさえ手に入れば、特に欲しいものはない。
「要らないと言われても、授与しないわけにはいきませんので、貰っていただきますわよ」
まあ、貰えるものは貰っておいて損はないか。
何を要求するか、考えておこう。
私は言った。
「さて……そろそろ戦利品を回収しましょうか。アリスティ、手伝ってください」
「かしこまりました」
イグーニドラシェル、ルシェス、傭兵6名のアイテムバッグや装備を、戦利品として回収する。
作業中、殿下が言った。
「イグーニドラシェルとルシェスの首は、持って行きましょう」
「え? 生首をですか?」
「はい。討伐の証拠になりますわ」
なるほど?
死んだことを確実に証明できたほうが都合がいいということだろう。
できれば、音響兵器を食らっているイグーニドラシェルの生首は、このまま焼却したいところなのだが……
まあ、いいか。
私は、イグーニドラシェル、ルシェスの生首が腐ってしまわないよう【魔法防腐剤】をかける。
それからアリスティのアイテムバッグに保管させた。
全てが終わったあと、シャーロット殿下が言ってきた。
「このたびは、助けていただき、ありがとうございました。本当に、感謝いたしますわ」
「いえいえ、こちらの命もかかってましたからね」
私は言った。
「では、王都へ戻りましょう。キャンピングカーを出しますね」
アイテムバッグからキャンピングカーを取り出す。
シャーロット殿下が告げる。
「あの、少しよろしいですか?」
「はい。なんでしょう?」
「王都に戻る前に、寄っておきたい場所があるんですの」
「寄っておきたい場所?」
私は首をかしげた。
シャーロット殿下が答える。
「ルシェス邸です。そこにヴァンブルという男がいますわ」
……ヴァンブル?
「……どなたですか?」
「ヴァンブル・フォン・ケルフォード。ルシェスの父であり、経済大臣ですわ」
「ほー」
ルシェスの父、ねぇ……
ロクな人じゃなさそうだ。
私は尋ねた。
「で……そのヴァンブルさんという人に会いにいくんですか?」
「はい。ヴァンブルも、この機会に、抹殺しようと思います」
シャーロット殿下がハッキリ、そう宣言した。
その理由を、殿下は説明する。
「エリーヌさんは、ルシェスの財産を手に入れました。しかし、この財産を滞りなく、エリーヌさんが受け取るためには、遺族を排除する必要がありますもの」
「ああ……」
なるほど、と私は納得する。
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