第2章60話:ビールと二人
私は微笑みながら尋ねた。
「ところで、お二人の年齢をうかがっても?」
シャーロットさんが答える。
「わたくしは22歳ですわ。ユレイラは115歳。……それが何か?」
「はい。どうやらお酒を飲んでも大丈夫な歳ですね。実は、この肉料理には、私の開発したお酒が合うんです。ビールっていうんですけどね」
「まあっ、お酒まで開発していらっしゃるんですの? ずいぶんと多才なんですのね」
「あははは。まあ私はクラフト馬鹿でして……それで、いかがでしょう? ビールを飲んでみますか?」
「ええ。せっかくですし、頂きたいですわね。ユレイラ、確か酔い止めの薬がありましたわね?」
「はい。ございます」
ユレイラさんが酔い止めの薬を二つ、取り出した。
それを、シャーロットさんとユレイラさんが飲む。
私はアリスティに命じた。
「アリスティ、冷蔵庫のビールを持ってきてもらえますか?」
「かしこまりました」
アリスティがキャンピングカーに向かう。
すぐにビール瓶を持って戻ってくる。
そのあと、ビールジョッキになみなみとビールを注いだ。
シャーロットさんは興味深げに見つめる。
「黄金のお酒ですわ! このような美しいお酒は、初めて見ました」
それからジョッキを掴んで、口に運ぶ。
直後、感激の色を浮かべた。
「……! これはまた、素晴らしい味わいですわね! 苦味とシュワシュワと弾けるような感覚が、面白くて素敵ですわ!」
と、そのとき。
同じようにビールを飲んだユレイラさんがバッと立ち上がる。
私を向いて尋ねてきた。
「こ、こここれは、いったいどこで手に入れたお酒なのですか!!?」
「え? いえ、ですから、私が錬金魔法で開発したものですよ」
「あ、そ、そうでしたね。いや、というか、錬金魔法で!? 魔法でこのような名酒を開発なされたのですか?」
「名酒というのは言いすぎですが……そうですよ。まあビールに関しては、一から手作りも可能ですが、魔法で作ったほうが早いので」
ビールを一から醸造するとなると、かなり面倒な手順があるだろう。
魔法があると酒造りがラクでいい。
シャーロットさんが言う。
「お酒を錬金魔法で作れるなどというのは、初耳ですわね。しかしユレイラは、よほどこのお酒を気に入ったようですわね」
「は、はい……取り乱してしまい、申し訳ありません」
「ふふ。酒好きのユレイラを絶賛させるとは、本当に素晴らしいお酒なのですわね。これは味わって飲まないといけませんわね」
ユレイラさん、お酒が好きなのか。
まあ、戦士や騎士は飲み慣れている人は多いものだ。
アリスティも相当イケる口だしね。
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