第2章55話:バーベキューを楽しむ


「な、なんというか……本来は従者である私がしなければいけない仕事なのに、申し訳ありません」


「気にしないでください。アリスティにとっては、初めてのバーベキューですし、勝手がわからないことも多いでしょう。今日は私がアリスティの従者になりますから、存分に楽しんでください」


「お嬢様が従者などとは恐れ多いです! しかし、お言葉に甘えて今日はいろいろと学ばせていただきますね」


「はい」


アリスティはジョッキを手にする。


「黄金の色。まるで宝石のようなお酒ですね」


私は苦笑する。


ビールを宝石だと表現するなんて、なんだか面白いね。


まあ、綺麗な色合いだということは認めるけど。


「では、いただきます。んくっ……んくっ……ん!! こ、これは、すごく美味しいですね!」


アリスティが感嘆した。


「がつんと来る苦味があって、けれど酸味があり、爽やかです。なんでしょう、このシュワシュワした感じ。クセになりますね」


「炭酸ガスですね。そういえばアリスティは、はじめて炭酸を飲んだんですね」


「炭酸……これは、お酒の新しい境地ですよ。それに、お肉ととても合いますね」


アリスティはお肉を食べて、ビールでお口直しをするという楽しみ方を、さっそく身につけた。


本当に幸せそうである。


私は微笑んだ。


「さて……私も食べ始めましょうかね」


いま焼けたぶんは全て紙皿にあげた。


そして私も食べ始める。


まずは焼きキャベツから。


タレをつけて食べる。


うん。


キャベツだ……!


まあ、前座だね。


次に、肉を食べる。


ウルフ肉。


タレをたっぷりつけて……いただきます。


もぐもぐ。


もぐもぐ。


「んーーーーっ!!」


……美味しい!!


いやぁ。


美味しくないわけがありませんね。


このぎゅっと旨味が閉じ込められたような味。


やっぱり炭火焼は最高だわ。


ウルフ肉も、タレにめちゃくちゃ合う。


そして。


ビールを飲む。


くぅーーっ、これもたまらないね。


この日のために生きてきたんだよ、私は!


もう一個、肉を食べ……


ビールジョッキをあおる。


大満足。


何が素晴らしいって、このバーベキューがいつでもできるというのがね。


異世界ライフ、快適すぎる!


私はどんどん肉と野菜を食べていく。


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