第2章47話:コーヒー2




「さて……最後になりますが、砂糖を入れてみましょうか」


「砂糖、ですか?」


「ええ。砂糖をコーヒーに入れると、味が劇的に変わります。もしかするとこれが一番気に入るかもしれませんね」


そう言って、私は砂糖をアリスティのコーヒーに投入してあげた。


アリスティがスプーンでかき混ぜる。


それから、口に運んだ。


「……!!?」


アリスティが明らかにさきほどとは違う反応を示した。


「な、ななななんですかこれ!!? こ、こんなに美味しく……!!?」


「気に入ったようですね」


「それはもちろん……! これを気に入らない人なんているんですか!?」


「大げさですね。まあ、美味しいことは認めますけど」


私も砂糖を溶かして飲み始めた。


はぁ……これだよコレ。


ミルクの甘味と砂糖の甘味。


異なる甘味が舌を喜ばせ、脳に心地よい糖分を与えてくれるんだよね。


作業には欠かせない代物だし、スローライフにも不可欠だよ。


と、そのときアリスティは言った。


「参りましたね。コーヒーの虜になってしまいそうです。ただ……さすがに高級品なのではないですか?」


「まあ当分は持つぐらいの量はありますので、好きに飲んでくれて構いませんよ?」


「好きに飲んでいいんですか!? ここまでの逸品を!?」


「言ったように庶民の飲み物ですし。無くなったら、素材を補充しにいけばいいだけですしね」


リズニス王国にはコーヒーノキが生えている場所があるという。


それを探すか、近くで売ってたら買うかすれば、補充できる。


だから節約するものでもないだろう。


と、アリスティが念を押すように尋ねてきた。


「本当に好きに飲んでいいんですね? 私、これに関しては遠慮しませんよ?」


ふふ。


よほど気に入ったんだね。


私は苦笑しつつ、答えた。


「はい。まあ、ただ飲みすぎは良くないので、1日2~3杯までにしてください。ミルクや砂糖も入れすぎないように」


「わかりました。もちろん節度は守ります」






そのあと、おかわりがてら、アリスティにコーヒーの作り方を教えた。


すると彼女は驚愕した。


「こんな簡単に作れちゃうんですか!? お湯をかけるだけじゃないですか!?」


「そうですよ。まあコーヒー豆を作るのは手間ですが、錬金魔法があればコーヒー豆の生成も一瞬ですし、二人で飲むぶんはラクに確保できますね」


「なるほど……やはり、お嬢様の錬金魔法は天下一品ですね。改めて尊敬いたします」


「コーヒーを造ったぐらいで尊敬されても困りますけどね」


私は苦笑した。


そして、本日2杯目のコーヒーを楽しむのだった。

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