第2章44話:久しぶりの入浴


<エリーヌ視点>


風呂工事を終えた、その夜。


実際にお風呂を使ってみた。


入浴剤は、柚子を使用する。


柚子のさわやかでさっぱりとした香りが、浴室の外にまで漂うほど充満する。


さて、入浴。


シャンプーで体を洗ってシャワーを浴びてから、湯舟に入る。


「おー。温かい」


そのまま肩まで浸かる。


お風呂はしっかりと暖まっていた。


いやー。


極楽だ。


キャンピングカーでのお風呂。


これはたまらないね。


ちなみに。


浴室には窓を設置しておいた。


ここから野外の景色を眺めることができる。


もちろん、窓の外に誰か居たときは即座に閉められるように、シャッター付きだ。


……まあ、こんな夜の湖に誰かがいるわけないので、現在は開けっぴろげだが。


「良い月だねぇ」


窓から眺める景色を見て、そうつぶやく。


窓の外には、凪いだ夜の湖が広がっている。


天には夜空。


赤や青、黄色の星が燦然ときらめく満天の星空だ。


そして浮かぶ二つの月。


その双月は蒼い光を放ち、地上のあらゆるものを照らしていた。


さらに、月影が湖面に落ち、幻想的な光景を作り出している。


ため息が出るほど美しい。


お風呂に入りながら、眺めるファンタジーの星月夜。


なんて贅沢なんだろうか?


(柚子も良い香り……入浴剤を作って正解だった)


私はお風呂の水をすくった。


甘酸っぱい香りにうっとりする。


癒される。


心がどんどんリラックスしていき、身体が解きほぐされていく。


私は一つ深呼吸をし、


思いきり脱力して。


湯舟での久しぶりの入浴を、存分に満喫した。

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