第2章37話:ルーナ大森林


キャンピングカーを走らせる。


関所を通り、【ノルン侯爵領】に入った。


侯爵領の街道を走る。


途中、村を発見したので立ち寄る。


名前はルーナ村だ。


宿を取ると、たまたま居合わせた旅人から、こんな話を聞けた。


「この村の南東には大きな森が広がっていてね。そこの魔物は、だいたい肉が美味しいんだ。あと、綺麗な湖がいくつもある。とても穏やかな森だよ」


私は、この話を心の中でメモした。





そして翌日。


キャンピングカーで、旅人の語った南東の森へと向かった。


この森は【ルーナ大森林】と呼ばれており、広大な森林地帯が広がっている。


森の手前でキャンピングカーから下車する。


キャンピングカーをアイテムバッグに片付けてから、アリスティと二人で森の内部へと足を踏み入れた。


旅人の語ったとおり、非常に穏やかな森であった。


草木が思い思いに枝葉を伸ばしているものの、足元は歩きやすく、視界も良好だ。


どんどん奥へと進んでいく。


途中、湖を発見したので、清水タンクの補給をしようと思ったが、やたらと魔物がたむろしていたのでスルーした。


――――ゆっくりと時間が過ぎ、日が暮れて夜。


その日は適当な場所を見つけて、森の中で野宿することにした。


焚き火を囲んで、食事を食べる。


このとき私は【生物除けの魔法水晶】を開発した。


この水晶に魔力を送り込むと、生物が入ってこれなくなる結界を展開できる。


つまり蛇や虫除けなどに使えるアイテムだ。


ちなみに、すでに結界内にいる生物も、速やかに結界の外に出て行く。


ただし、魔物を弾く結界ではないので、魔物だけは自力で対処しなければならないが……。


まあ、十分だろう。


私は魔法水晶を使って結界を張り、快適に食事を食べる。


そして食後、テントを設営して眠りについた。




二日目。


朝、テントの中で起床する。


外に出て、焚き火で食事を作ってから、朝食。


それが食べ終わると、テントを片付けて出発した。


森の中を、歩く。


朝の森は涼しく、踏みしめる地面はひんやりとしていた。


柔らかな陽光が木々の隙間を通して、森の中へと降り注いでくる。


何匹か魔物と遭遇したが、凶暴ではないタイプのようで、襲ってこなかった。


数時間後、また湖を見つけるが、池のように小さいものだったのでスルー。


さらに森を歩き続ける。


時は巡り……


昼になった。


ここでようやく、手頃な湖を発見することができた。


「綺麗な湖ですね」


アリスティは、湖のほとりに立ってそうつぶやいた。


森に囲まれた湖。


そこそこ大きい円形の湖だ。


半径70メートルぐらいはあるのではないだろうか。


湖の上空には快晴が広がり、浮かぶ太陽が、水面にきらきらとした陽光を落としている。


湖面は穏やかに凪いでおり、波の一つも立っていない。


私は言った。


「ここにキャンピングカーを出しましょう」


森と湖のあいだに、30メートルほどの空間があり、丈の低い雑草が芝生のように生い茂っている。


そこにアイテムバッグからキャンピングカーを取り出した。


そして給水ホースと浄水装置を設置。


ゴーレムを使役して、湖から清水タンクに水を補給していく。




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