第1章32話:コーヒーノキ



カラミア公国を走り抜けていく。


快適な走行だ。


複数の領地を抜ける。


私たちはあっという間にカラミア公都に辿りついた。


このとき、私はアリスティとともに、ふたたび素材と食材を買いまくった。


公都の店をめぐって目ぼしい素材を買い集める。


「ん……!?」


そのとき、街の露店でとんでもないものを発見する。


コーヒーノキだ。


名前の通り、コーヒーの原料である!


「この植物ください! 全部!」


これは買うしかないと思って、注文した。


すると女店主が言った。


「へえ……全部買ってくれるのかい。まあ甘酸っぱくて美味しいものねえ」


ん……?


コーヒーが甘酸っぱい?


ああ、そうか。


私は気づく。


(コーヒー豆じゃなくて、果実のことを言ってるんだね)


コーヒーの果実は実は食べることができる。


日本ではコーヒーといえば果実ではなく飲み物のことを指すが……


この世界では、逆なのだろう。


というかコーヒー飲料については、そもそも製法自体が知られていないかもしれない。


「ちなみにこれ、どこで手に入れたんですか?」


「ん。リズニス王国だよ。南西のほうに荒野があってね」


「へえ……」


リズニス王国か。


ちょうど目的地である。


入国したら、その荒野に絶対立ち寄ろう。


私はそう心に決め、コーヒーノキを全て買い上げてから、露店をあとにした。





そうして公都での買い物を続ける。


あちこち散策し……結果。


新しい素材をいろいろと入手できた。


そして手に入れた素材を使って、爆弾の作成に成功した。


実践テストも無事成功したので、量産して50個ずつストックしておく。


用が済んだので、公都を出発。


公都領を抜けて、さらにいくつもの領地を越えていく。


そうして8時間ほどが経過。


最後の領地に到着した。


オレート領である。


ちなみに、カラミア公国に入国してからまだ2日しか経っていない。


それでも、もうリズニス王国は目の前である。


ただ、オレート領に着いたときには夜だったので、国境越えは明日になるだろう。




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